
黙々とリハビリに励む増田
今季は東京オリンピックの影響で、例年より開幕が早まるプロ野球。それを見越して、春季キャンプでは各球団、早めの調整を行っている。
ソフトバンクも2月13日から紅白戦をスタートした。実戦が始まったことで、特に開幕一軍を目指す若手選手はこれまで以上にアピールに必死だ。
一方で、焦る気持ちをぐっと堪えて自分の時間を過ごす者もいる。リハビリ組の選手たちだ。おのおの故障箇所の回復を最優先に、今できることを、自分のペースで進めている。今季3年目を迎えた
増田珠もその1人。増田の右手には、包帯がしっかりと巻かれている。
プレーだけでなく、持ち前の元気の良さ・明るさからも
松田宣浩の後継者として注目される背番号33。昨季はウエスタン・リーグ111試合に出場し、打率.278、7本塁打、53打点。終盤には一軍初出場も果たし、今季はさらなる飛躍が期待される。だからこそ、オフシーズンから、まずは春季キャンプA組(一軍)入りを目指していきたかったが、昨年11月に右手首を手術した。横浜高時代にも手術をしている古傷だった。
シーズン中から痛みがあったのか尋ねてみると「よく分からなくて……。もうマヒしちゃってたんですよね」と苦笑いを浮かべた。二軍で結果を残して一軍のグラウンドへ、とがむしゃらだったのだろう。病院で見てもらったときには、前回手術した際に入れたボルトが折れてしまっていた。それでも今回、復帰まで約6カ月を要することが分かっていながらも再手術に踏み切った増田は冷静だった。「先のことを考えると『不安なくしてプレーした方がいい』と思い決断しました」。
春季キャンプでのリハビリは「順調です」。復帰のめどは当初の予定どおり、5月ごろだという。野球ができないもどかしさは当然ある。ただ、「スーパーパワーアップして帰ってきます!」。元気よく宣言した増田が、どのような進化した姿を見せるか、今から楽しみだ。
取材=菅原梨恵