叱れる男がメンタル改革を実現させるか

宮崎キャンプでの阿部。絵になる?
開幕が近づく中、コロナ、コロナで落ち着かないが、俺がひそかに(というほど大げさじゃないが)注目しているのが、
巨人の二軍だ。
あらためてキャンプを振り返ってみると、スポーツ新聞の見出しだけなら陰の主役は巨人の二軍監督になった
阿部慎之助だった(俺が宅配でとってるのが報知新聞ということもあるが)。
しかも「制裁」とか「居残り練習」とか今の時代に即しない昭和な見出しが多い。
もちろん、明るい男だから厳しい言葉も笑いにしながらだろうが、慎之助は「できないのか、仕方ないな」で終わらず、「できなきゃできるように練習しろ」の一押しができる指導者だ。
指導者ならそのくらい言って当たり前と思うかもしれないが、これが結構、難しい。
俺がコーチをしていた6年くらい前ですでにそうだったが、アマチュア時代に体罰どころか、怒られたことがない、という選手が多かった(体罰礼賛派じゃないよ。暴力反対)
もちろん、そういう中でも
田口麗斗みたいに図太いヤツや、向上心の塊みたいなヤツもいたが、言われない限り無理しない、怒られたらいつまでもシュンとしているメンタルが弱いヤツが増えていた。
そういう選手がマウンドに立つと、いいときはいいが、少し追い込まれるとすぐ腕が縮こまってボールを置きにいく。逆にメンタルが弱すぎて、別人みたいに開き直れた
山口鉄也みたいな選手もいたが、彼は例外だろう。
かける言葉にすごく神経を使った。
果たして、そういう子たちが慎之助の厳しい野球についていけるのか。
俺は意外といけるんじゃないか、と思う。阿部がチームを離れていたら別だけど、みんな彼の選手としてのすごさ、積み重ねてきた努力も間近で見て知っている。彼の言葉は、たぶん選手たちに無茶苦茶、説得力があるはずだ。
それにあいつは厳しいだけじゃない。
選手時代から、彼が投手に送るアドバイスは、投手コーチに俺が「そう来たか!」と思うものがあった。野球センスでは抜けていたね。慎之助はたぶん投手でもいけたと思う(太らなきゃ)。
とにかく、普通の選手とは見る目の次元が違っていた。
あとは明るさだね。厳しい言葉の後でも、あの笑顔を見たら選手もふっと楽になると思うよ。
これから監督として厳しくて怖いけど、アドバイスを聞いたらうまくなった、頑張ればしっかり見ていてくれ、一軍に上げてもらった、ダメなら追試があるが、そこで結果を出せば、またチャンスをもらえたという、モチベーションの好循環を選手に与えることができれば、間違いなくいいチームをつくると思う。
原辰徳監督はよく「二軍は勝たなくていい。いい選手を育てればいいんだ」と言っていたが、慎之助は今の時代では一番難しいメンタル改革を実現させ、勝利も育成も両立させるかもしれない。
何年先になるか分からないが、俺は彼が一軍監督になったとき、野村ID野球+パワー野球を期待しているのだが、どうかな、慎之助。ハードルが高すぎる?