ロッテの「もう1人の福田」が開幕スタメンに向けてアピールを続けている。ドラフト5位・福田光輝が強烈な爪痕を残したのが3月14日のオープン戦・
中日戦(ナゴヤドーム)だった。「一番・三塁」で先発出場すると、初回にフルカウントから中日の
山本拓実の147キロ直球を逆方向の左翼席に運ぶアーチ。3回も山本の外角高めの直球を豪快に引っ張り、広いナゴヤドームで打った瞬間に本塁打と分かる2打席連続弾を右翼席に叩き込んだ。
ソフトバンクから昨オフにFA移籍してきた同姓の
福田秀平に注目が集まる中、福田光もオープン戦で3本塁打を放った。21打数4安打、打率.190と満足する数字とは言えないが、映像を見た他球団のスコアラーの見方は違う。「大阪桐蔭の時から注目してきたけど、あのパンチ力は衝撃。高校のときも甲子園の右中間の最深部にホームランを打っているけど、プロでこの時期に仕上がってきた投手の直球を打つのと意味合いがまったく違う。スイングの軌道が高校の先輩で同じ左打者の
森友哉(
西武)に似ている。あれだけ振れるのは大きな魅力だし、大化けする可能性がある」と警戒を口にした。
大阪桐蔭高では2年夏の甲子園で全国優勝を経験したが、打撃より守備力に定評があった。確実性が課題だったが、法大に進学すると4年春に打率.354をマークするなどプロでも通用する即戦力としてレベルアップした。福田の強みは二塁、三塁、遊撃と守れるところだ。
阪神から複数のポジションを守れる
鳥谷敬が加入したことも野球人生の良き教材になるだろう。本職の遊撃は
藤岡裕大がレギュラーの本命だが、豪快な打撃で評価が急上昇している福田光が開幕スタメンを勝ち取る可能性は十分にある。
昨年12月の入団会見では最速163キロのドラフト1位右腕・
佐々木朗希にマスコミの注目が集まったが、福田光も「井口監督のような選手になりたい。いい守備と逆方向に強い打球も打てますし、体も強いのでそういう選手を目指して頑張りたいと思います」と静かに闘志を燃やしていた。新人らしからぬ落ち着いた雰囲気は、高校の先輩の
中村剛也(西武)、
浅村栄斗(
楽天)を彷彿とさせるような大物ぶりを漂わせる。ロッテに新風を起こせるか。レギュラーを勝ち取れば、新人王の可能性も十分にある。
写真=BBM