
15日、日本ハムとのオープン戦(札幌)で出塁する百瀬
昨年、入団5年目でたどり着いたプロ初打席は見逃し三振。これまで
百瀬大騎の一軍での打席はこの1打席のみ。6年目となる今年のキャンプは昨年同様、二軍で迎えていた。
そんな百瀬が練習試合で放った1本のアーチが未来を切り開いた。2月12日に行われた
中日との二軍戦(読谷)を
ラミレス監督が視察。背番号64がバックスクリーン右に本塁打を放つと、指揮官は、「百瀬の本塁打は初めてみたよ」と目を丸くした。このアピールがきっかけとなりキャンプ後半には一軍に昇格した。
もともと内野守備は安定していた。足も使える。課題は打撃にあったが、昨夏、打撃練習でカーブマシンを打っているときにきっかけをつかんでいた。「あまりに打てなくて、右足を内側に入れてみたら『これだ!』って」。直後、7月のファーム月間打率.390のハイアベレージをマークし、昨年の“初打席”につなげた。
今春のオープン戦では少ないチャンスでアピールしようと一軍に食らいついた。オープン戦最後の試合となった3月15日の日本ハム戦(札幌)は「八番・セカンド」でスタメン出場すると、2打席目にセンターへクリーンヒット。6回二死満塁のチャンスではボテボテの二ゴロも、一塁へヘッドスライディング。判定はアウトだったが、ベンチのラミレス監督は百瀬のプレーに応えるようにリクエストを要求すると判定は覆り、適時内野安打をもぎとった。「アウトになりたくないと思って、勝手に出ました」。
2015年、松本第一高からドラフト6位で入団した23歳のスローガンは、『努力しないと、何も始まらない』。開幕ベンチ入りへ、全力プレーが続く。
文=滝川和臣 写真=高原由佳