楽天では即戦力ルーキーたちが投手陣の中継ぎ争いを過熱させている。キャンプを一軍で過ごし、オープン戦や練習試合でも順調に経験を積んでいるドラフト3位の
津留崎大成、同6位の
瀧中瞭太に加え、3月21日にはドラフト5位の福森耀真が一軍に合流した。福森は体調不良により新人合同自主トレの序盤を休んだ影響で、キャンプを二軍で過ごしていたが、キャンプ明けから始まった二軍での練習試合などで登板を重ね一軍合流へのチャンスをつかんだ。その間にマークした最速は153キロ。自己最速が154キロだけに、順調な仕上がりを見せている。
津留崎、瀧中、福森はともに中継ぎでの起用が濃厚だ。そこには、
青山浩二や
高梨雄平ら実績ある選手がひしめいている。さらに
釜田佳直や
安樂智大ら中堅選手もその座を狙っており、一筋縄とはいかない戦いが今後も続いていくだろう。だが、現状では開幕一軍の可能性は非常に高い。新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月21日まで開幕は伸びたが首脳陣からは大きな期待を寄せられている。
「ケツ森と呼んでください」
新入団会見であだ名を問われた福森は笑顔で答えた。鍛え上げられた自慢の下半身を生かして繰り出される直球は、スピードはもちろん、力強さ、球威へとつながっており、まさに本格派。理想とするのは
藤川球児(
阪神)の真っすぐで、多彩な変化球も併せ持つが、「分かっていても打てない」直球を目指して伝家の宝刀を磨いている。3月23日のブルペンで、その投球を見た
伊藤智仁投手コーチも「球に力があって速い。楽しみだね」と目を細めた。
対戦したい打者を問われると
中田翔(
日本ハム)や
森友哉(
西武)を挙げた福森。強打者に対し、「真っすぐでどんどん押していきたい」と目を輝かせた。シーズンが始まれば直球勝負だけとはいかないだけに、開幕までの1カ月弱は自身の直球がどこまで通用するのかを試せる貴重な時間だ。一流打者に物怖じすることなく直球勝負を挑む福森の投球に注目していきたい。
文=阿部ちはる 写真=BBM