新型コロナウイルスの感染拡大により、休校による孤立や学習の遅れ、ストレス増加など、子どもたちがさまざまな影響を受けている。そのような状況を受けて、福岡ソフトバンクホークスの千賀滉大選手が、チームの地元・福岡市の子どもたちのために立ち上がった。
千賀選手はチームメートで同期の
甲斐拓也選手に呼びかけ、ともにチャリティーTシャツを製作。クラウドファンディングサービス「READYFOR」でファンから寄付を募り、寄付者へのリターンとしてそのTシャツをプレゼントする。Tシャツは千賀・甲斐バッテリーのシルエットをモチーフにしたオリジナルデザインで、#上を向いて歩こう。#強い「心」という2人からのメッセージが添えられている。
千賀選手は児童虐待防止を目的とした「オレンジリボン運動」を支援しており、1奪三振につき1万円(公式戦・ポストシーズンを含む)を児童虐待防止全国ネットワークに寄付している。昨シーズンはキャリアハイの227奪三振をマークし、ポストシーズンと合わせて249万円を寄付した。今回は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、外出自粛による児童虐待増加の懸念があることをニュースで知り、オレンジリボン運動支援の延長としてアクションを起こそうと決断した。
「外出自粛や休校の長期化で児童虐待のリスクが高まることに加え、家で寂しい思いをしている子どもたち、勉強したくても環境が整っていない子どもたちがいると聞いて、何かできることはないかと思い行動に移すことにしました」(千賀選手)
クラウドファンディングで集まった寄付は、特定非営利活動法人「子どもNPOセンター福岡」を通じて、福岡市内の児童養護施設や里親家庭などで暮らしている子どもたち(約450人が対象)の支援に活用される。具体的には、児童養護施設や里親家庭などの感染予防にかかる費用、外出自粛で交流が制限されている子どもの支援に用いるタ
ブレットなどのデバイスや通信費にかかる費用、直接サポートするスタッフの活動費などに充てられる。
それに加えて、千賀選手はマスク4万枚を購入し、すでに福岡市を通じて市内の医療機関、児童福祉施設、高齢者施設、障害者施設に寄付している。
寄付先や、寄付金・マスク活用などの調整を行った九州大学専任講師の田北雅裕さんは、「今まさに必要とされている支援で、関係者一同とても喜んでいます。何より、子どもたちにとって憧れの千賀選手と甲斐選手からの応援とメッセージは大きな励みになるはずです」と感謝の意を表した。
「僕自身、試合ができない日々の中で、ファンの皆さんの前で野球ができることが当たり前のことではなかったんだと痛感しています。野球の試合がない今こそファンの皆さんと一緒に支援活動をしたいと思い、今回はクラウドファンディングという形をとりました。一人でも多くの方にご賛同いただけたらうれしいです」(千賀選手)
いつもチームを応援してくれる地元福岡のファンとともにこの苦境を乗り越え、球場で会える日が1日も早く来るように――千賀選手、甲斐選手2人の支援活動には、そんな強い思いが込められている。
クラウドファンディングページ https://readyfor.jp/projects/36592
文=岡田真理 写真=BBM