プロ野球は激しい競争の世界だ。かつて主力として活躍していた選手も故障や若返りでベンチやファームに追いやられるケースは少なくない。苦境を味わった選手の復活は勇気を与える。
坂口智隆、
梶谷隆幸、中島宏之、
T-岡田、
鳥谷敬……開幕からエンジン全開でもう一花咲かせる。
・坂口智隆(近鉄、
オリックス、ヤクルト)
※通算成績 1382試合出場、打率.282、29本塁打、380打点、81盗塁
2002年のドラフトで
雄平(現ヤクルト)の外れ1位で指名されて近鉄に入団。05年から球団合併に伴いオリックスに移籍すると、俊足と強肩を生かした外野守備で08年から4年連続ゴールデン・グラブ賞を獲得し、打撃も全試合出場した11年に最多安打をマークした。若手の台頭もあり出場機会を減らし、15年限りで退団してヤクルトへ。移籍1年目から活躍し、18年に打率.317をマークしたが、昨年は春先に左手親指骨折した影響もあり、調子が上がらず22試合出場で打率.125と不本意な成績だった。今年は不動のリードオフマンに返り咲く。
・梶谷隆幸(DeNA)
※通算成績 786試合出場、打率.260、100本塁打、344打点、135盗塁
当時の
中畑清監督に素質を見出され、プロ6年目の2012年から一軍での出場数が大幅に増える。14年に内野から外野にコンバートされると同年に初の規定打席に到達し、盗塁王を獲得した。17年に1億円プレーヤーとなったが、18、19年は2年連続41試合出場と激減。右肩痛に加えて若手の成長もあり、控えに追いやられた。今年はオープン戦や練習試合から状態の良さをアピール。固定されていない一番打者で輝きを取り戻したい。
・中島宏之(
西武、アスレチックス、オリックス、巨人)
※通算成績 1682試合出場、打率.294、195本塁打、919打点、144盗塁
西武時代は確実性とパンチ力を兼ね備えた大型遊撃手で活躍。打率3割を6度マークし、08年から2年連続最高出塁率、09年に最多安打のタイトルを獲得した。12年オフにFA移籍したアスレチックスでメジャー出場は叶わず、15年からオリックスへ。18年オフに巨人に移籍したが、昨年は打率.148と期待に応えられなかった。今年はグリップの位置を下げ、左足の上げ幅を小さくした打撃フォームに改造して実戦で快音を連発。一塁のレギュラーをつかみたい。

オリックス・T-岡田
・T-岡田(オリックス)
※通算成績 1088試合出場、打率.261、170本塁打、583打点、25盗塁
2005年高校生ドラフトで大阪桐蔭・
辻内崇伸(元巨人)の外れ1位で指名されオリックスに入団。当時の
岡田彰布監督の提案で、本名から「T-岡田」に登録名を変更した10年に開眼した。ノーステップ打法に改造し、打率.284、33本塁打、96打点で
王貞治(現
ソフトバンク球団会長)以来48年ぶりとなる22歳で本塁打王を獲得した。その後も主軸を担っていたが、昨季は20試合出場で打率.120、1本塁打の大不振。オフは若手が武者修行するプエルトリコのウインター・リーグに参加した。まだ32歳。貴重な長距離砲として悔しさを晴らす。
・鳥谷敬(
阪神、ロッテ)
※通算成績 2169試合出場、打率.280、138本塁打、822打点、131盗塁
「ミスタータイガース」として阪神で長年活躍した。遊撃でプロ野球歴代2位の1939試合連続出場を記録し、17年に通算2000安打を達成。選球眼に優れ、11年には最高出塁率のタイトルを獲得している。昨季はベンチを温める機会が多く、74試合出場で打率.207、0本塁打。球団に今年の戦力構想から外れていることを通告されたが、現役続行を目指して退団。トレーニングを続けて3月にロッテに入団が決定した。新天地でもう一花咲かせたい。
写真=BBM