一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 し烈なパのホームラン王争い

この年の野村は通算500号本塁打もマークしていた
今回は『1971年9月20日号』。定価は90円。
1971年終盤、話題となっていたのが、パのホームラン王争いだ。
東映・
大杉勝男を筆頭に、阪急・
長池徳二、
ロッテ・
アルトマン、近鉄・
土井正博が競い合っていた。
この戦いを南海・
野村克也兼任監督が分析する。
「本命は大杉だな。外角高めの球を高く上げてレフトスタンドに運ぶ技術を持っている」
長池については、
「内角にはとことん強いが、真ん中寄り外気味になるとホームランを打てない。1年に2、3本ライトへのホームランがあるが、これはたまたま」
土井に関しては、もともと野村は高く評価しており、近鉄はまだ南海戦を多く残していたが、
「うちの門田(博光)と打点王を競っているからサービスするわけにはいかんな」
とも言ってた。
最終的には大杉が41本でタイトルを取ったが、長池、土井40本、アルトマン39本という史上まれな僅差の戦いとなったシーズンだった。
ただ、パのホームラン王争いの常連の名前が、ここにない。
当の野村である。
61年から続いていた連続本塁打王は68年限りで途絶えていたが、前年も42本。
野村自身も、
「若いヤツがどんどん出てくることは、将来のためにはええことや。ワシらのようなポンコツをいつまでも押し抜けないようではアカンからな。
ただ、まあ、喜んでいいのか。ワシにとっては寂しいことや」
と話していた。36歳の野村は、それでもこの年、29本は打っている。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM