一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 西本幸雄監督も日本一に自信

今度こそはと燃える阪急・西本監督
今回は『1971年9月27日号』。定価は90円。
9月1日からパで優勝確実となっていた阪急を視察していた
小松俊広スコアラーは、
「はっきり言って今の比較だったら阪急のほうが上ですよ。仮に第1戦を落とすと、うちをなめて、かさにかかって攻めてくる。そうなると、うちはズルズル押しまくられるかもしれない」
スコアラーが報道陣に語った言葉だ。当然、本音ではないと思うが、
西本幸雄監督率いる阪急に、これまでにない勢いがあるのは確かだ。
強がりが嫌いな西本監督も「ことしの阪急は
巨人に勝てるよ」とはっきり言い切った。
自信の源は、アンダースローの
山田久志、俊足の
福本豊、左の強打者・
加藤秀司の若手3人衆の存在だ。福本のみ69年の日本シリーズに少しだけ出ているが、巨人からしたらほぼ未知数。
小松スコアラーは山田について、
「下手投げだから逃げるピッチングと思ったら大間違いだ。あの下からえぐるようなスピードボールはセ・リーグにはいない」
もともと阪急には対巨人に自信を持つ
足立光宏もおり、投手陣では下手二枚を警戒していた。
打線も俊足の福本、新鋭の加藤に加え、主砲の
長池徳二も健在。脇役的な選手もそろい、バランスがいい。
阪急は過去3回、巨人に日本シリーズで敗れているが、いずれもペナントレースを終盤まで競り、相手の研究が十分ではなかった。
それが今回は比較的余裕があり、しかも自軍の選手に圧倒的な自信がある。
評論家たちも阪急有利とまでは言わないが、「どちらが勝つにしれも7戦まではいくでしょう」という声が多かった。
では、また月曜に。
<次回に続く>
写真=BBM