一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 ナ・リーグでは禁止の内規

高見山に持ち上げられるオリオールズのウィーバー監督
今回は『1971年12月13日号』。定価は90円。
話題が少し遅いが、
巨人の野手・
増田大輝の登板が物議を醸したことがある。
メジャーでは当然のこと、という話もあったが、実際にはメジャーでも「ファンに失礼」の声もあり、「延長戦か6点差以上」が来季から条件になるらしい。
実はこの話、昔からあった。
以下はベーブ・ハットマンという在日米記者のコラムから抜き出した話である。
1971年オフ、日米野球で12勝2敗4分と圧倒的な強さを見せたボルチモア・オリオールズは、これまでの「日本とアメリカの野球のレベルが近付いてきた」という論調を完全に打ち砕く、黒船級、小錦級の破壊力があった。
ただ、ハットマンが「1つだけ真似してほしくない」と書いたのが、11月16日の試合でウィーバー監督がダバノン内野手を登板させたことだった。
ダバノンはハイスクールでは投手経験があるが、プロ入りしてからは皆無。投手陣に故障者が出たためでもあったが、ハットマンは「これは親善試合での座興と解してほしい」と書いている。
当時、ナ・リーグには「投手として登録された選手でなければ登板できない」という内規があったという。
きっかけは、ウィリー・メイズ・デー。メジャーの偉大な外野手で、詳しくは書いていないが、消化試合でメイズに全ポジションを守らせようという企画があったらしい(記録は確認できず)。
ただ、メイズが投手をしたことに対し、クレームがついた。
「ピッチング技術はハイレベルのもの、だからこそ専門コーチの下で独特の訓練が行われる。ファンはそれを十分に知っている。なのに投手として訓練を受けていない野手を登板させるのは、観客に対する礼を失する」
というものだった。これをきっかけにナでは禁止の内規ができた。ハットマンは「アもナにならい同様の内規をつくるべきだと思う」と書いている。
では、また月曜に。
<次回に続く>
写真=BBM