8月15日に行われた
ヤクルト対
DeNA戦で、ヤクルトの
小川泰弘がノーヒットノーランを記録。NPBでは2019年9月14日に
中日の
大野雄大が記録して以来となる82人目(通算93回目)、チームとしては2006年5月25日に
楽天戦で
リック・ガトームソン以来8人目の快挙だった。
小川はここ数シーズン実力を発揮できていなかったが、今シーズンは開幕から好調を見せ、この試合でも勝負強さを発揮し何度もピンチを乗り越えた。こうなると今シーズンの「投手タイトル獲得」を期待したいところだが、過去にノーヒットノーランを記録した投手は、その年にタイトルを獲得するような活躍ができたのだろうか?
ノーヒットノーランをはずみに活躍しているのか
現在のチーム体制となった2005年以降にノーヒットノーランを達成した投手の「その年の成績」を以下にまとめてみた。
※( )内は達成当時の所属チーム ●リック・ガトームソン(ヤクルト)2006年5月25日 楽天戦で達成
25試合 9勝10敗 防御率2.85
タイトル獲得なし
●
山本昌(中日)2006年9月16日
阪神戦で達成
27試合 11勝7敗1S 防御率3.32
タイトル獲得なし
●前田健太(広島)2012年4月6日 DeNA戦で達成
29試合 14勝7敗 防御率1.53
最優秀防御率
●杉内俊哉(巨人)2012年5月30日 楽天戦で達成
24試合 12勝4敗 防御率2.04
最多奪三振、最高勝率
※最高勝率は当時表彰なし
●
西勇輝(
オリックス)2012年10月8日
ソフトバンク戦で達成
19試合 8勝3敗 防御率2.78
タイトル獲得なし
●
山井大介(中日)2013年6月28日 DeNA戦で達成
23試合 5勝6敗1H 防御率4.15
タイトル獲得なし
●
岸孝之(
西武)2014年5月2日
ロッテ戦で達成
23試合 13勝4敗 防御率2.51
最高勝率
●山口俊(巨人)2018年7月27日 中日戦で達成
30試合 9勝9敗1S1H 防御率3.68
タイトル獲得なし
●
千賀滉大(ソフトバンク)2019年9月6日 ロッテ戦で達成
26試合 13勝8敗 防御率2.79
最多奪三振
●大野雄大(中日)2019年9月14日 阪神戦で達成
25試合 9勝8敗 防御率2.58
最優秀防御率
2005年以降にノーヒットノーランを達成した10投手のうち、その年にタイトルを獲得したのは前田健太、杉内俊哉、岸孝之、千賀滉大、大野雄大の5人。そもそも5人ともにノーヒットノーランを記録していなくてもタイトル可能性の高い「球界屈指の投手」ということもあるが、モチベーションになったのは間違いないだろう。
タイトルを獲得できなかった場合でも、ガトームソンのように前年よりも優秀な防御率を残したり、山本昌のようにノーヒットノーランをはずみにして2ケタ勝利を挙げたりする例もある。快挙を達成したものの、その後は調子を維持できなかった山井の例(日本シリーズでは快投を見せたが……)もあるが、ノーヒットノーランを達成した年は成績も上向く傾向にあるようだ。
ちなみに、2005年以降は小川も含めて11人がノーヒットノーランを記録しているが、その相手チームはDeNA、阪神、中日、楽天、ロッテ、ソフトバンクの6チームのみ。中日、ソフトバンク以外は複数回という悔しい結果になっている。特にDeNAは最多の3回。今回の小川もDeNA戦での達成だったが、DeNAのファンとしては、応援しているチームがノーノーされるのはもう勘弁してもらいたいところだろう。
ノーヒットノーラン達成投手のその年の成績を振り返ってみた。小川はDeNA戦以降の登板はまだないが、ここまで好調を見せているだけに、今後も快投を見せてくれるはずだ。新人王以来のタイトル獲得も夢ではない。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM