大きな事故もなく

秋季神奈川県大会は東海大相模高が2年連続14度目の優勝。県高野連主催の夏の独自大会に続き、今秋も「無観客試合」で実施された
東海大相模高が秋季神奈川県大会で2年連続14度目の優勝。昨年は春、夏、秋すべてを制しており、今春の中止を挟み、夏の独自大会を通じて5季連続での県制覇を遂げた。
新型コロナウイルスの感染拡大防止対策により、優勝校と準優勝校・鎌倉学園高の表彰式は簡素化された。バックネット裏付近に代表の4選手が呼ばれ、優勝旗、賞状、カップなどが授与。各校わずか3分程度で終え、集合写真の撮影後は、十分な距離を取った上でのベンチ前で報道陣による取材。テレビ3分、ペン7分の制限時間を過ぎると、両校の選手たちは速やかに引き揚げた。そして、県高野連役員によって一、三塁ベンチを隅々まで消毒。計8日間の全日程を終えた。
新型コロナウイルスと向き合う試合運営は今夏の独自大会、そして秋と2大会を経験した。神奈川県高野連・栗原豊樹専務理事は言う。
「大きな事故もなく、終えられたことは何よりです。すべての出場校は準備期間が短い中でも、全力を出し切れたのかな、と思います。(休校などで)春から活動期間が短く、どの学校も、もどかしさがあったと思います。この後の期間で練習に打ち込んでもらい、来春にその成果を発揮してほしいと思います」
6地区の地区予選は例年、原則4校でリーグ戦を行い、上位2校が県大会へ進出する。しかし、今回は原則4校によるトーナメントで、1校が県大会出場という短縮日程が組まれた。昨年は75校で県大会が行われたが、今年は43校。地区予選がトーナメントとなった理由は、夏休みが短縮されたことが大きい。すでに8月下旬から多くの学校で授業が始まっていたことが影響。土、日、祝日しか試合を組めず日程上、リーグ戦開催は難しくなった。
栗原専務理事は「この秋は公式戦の機会が減ってしまったが、来年春は通常に近い形に戻したい。だが、情勢を見極めながら、模索していくことになる」と慎重に語る。加盟校には引き続き注意喚起し、社会全体として新型コロナウイルスの感染者数の減少、終息を願っている。
メーン会場となる保土ヶ谷球場の周辺は、試合前後も、人はいなかった。「無観客試合」。スタンドに入場できるのは野球部の控え部員のみという超厳戒態勢は、夏から継続された。
「無観客に対して、ご理解をいただいていることに、感謝したいです」(栗原専務理事)
全国を見渡せば、一部の地区では「有観客試合」が実施されている。だが、栗原専務理事は最優先事項として選手の「安全第一」を挙げ、来春以降の入場者についても、明言を避けた。夏、秋と無事に大会を終えられたのも、県高野連関係者のほか、球場など、多くの尽力よって運営された。選手たちはプレーする場を提供された事実を今一度、認識して、感謝の気持ちを示すことが大切である。
秋の公式戦はまだ、終わっていない。10月24日には関東大会が千葉で開幕する。来春のセンバツ甲子園の選出へ向けた、貴重な資料となる。県1位の東海大相模高と同2位の鎌倉学園高が出場。「両校ともフェアで模範的なチーム。県代表として胸を張って戦ってほしい」(栗原専務理事)。徹底した感染予防対策。県高野連は2校に対して、最大限のサポートをしていく。
文=岡本朋祐 写真=大賀章好