一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 王貞治の自主トレ密着

立ち姿が美しい
今回は『1972年2月7日号』。定価は90円。
伊豆大仁山で山籠もりし、体を鍛えるNこと
長嶋茂雄に対し、O、
王貞治は、同じ伊豆だが、こちらは海沿いの片瀬白田温泉で自主トレ。ただ、日々のバットスイングこそ欠かさないが、基本的には「休養が目的」とゴルフや海釣りも楽しみながら過ごしていた。
さらに、この自主トレで初めて取り組むのが、打撃ノートづくり。
「つまり一本足打法の総点検です」
という。1日2ページのペースでスタート。たとえば以下のようなことが書いてあった。
「スタンス。昔はもっとクローズド・スタンスだったような気がする。しかし、多少、オープンスタンスに変わったのは仕方がないことだ。大リーグでも内角球に対処するためオープンスタンス全盛だ」
「グリップ。アメリカでも僕のグリップはほめられた。位置は窮屈にならない程度に頭に近いほうが、僕には向いているようだ」
「スイング。バック・スイングは小さく、バットの描く弧は大きく」
スタンスの位置、足の踏み出し方向を図示した絵もあったという。
今までは何かあれば
荒川博コーチに相談していたが、荒川コーチが2年前に退団したことで、前年のスランプ時にどうすればいいか分からなくなったことがあったらしい。
一本足打法という誰も真似できぬ技術を持っているがゆえの悩みとも言える。
「気がついたことを書きつけていくことで、自分でその理論を納得するしかない。書いたものを残していけば、悪くなったとき、その場その場で、今度は自分でチェックしていける。スランプになっても対処できる。頭の中でも、体でもしっかりしたものをつかんで、一本足打法というのはこういうものだと、今度こそは主張できると思う」
王は引退後、助監督からスタートし、84年以後、ユニフォームでは監督しかしていない。ダイエー監督時代の小久保との師弟関係などもあったが、打撃コーチに専念して誰かを育てる姿を見たかった気がする。
もしかしたらだが、そうなれば「一本足打法」の技術がよりスタンダードになり、今も各チームに1人はいるようなことになったのかもしれない。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM