ドラフト会議で指名が重複した場合は、抽選で指名権を争うが、2球団競合になった場合の「勝率」はどのチームが高いのだろうか? 実際の試合のように、相性の良いチーム、悪いチームがあるものなのだろうか? 今回は、「2球団競合での対戦成績」をまとめてみた。
西武は勝率67%!

2008年のドラフトで東海大相模高は巨人、ソフトバンクが競合。クジ引きの末、巨人が交渉権を獲得した
ドラフトが始まった1965年から2019年までのドラフト会議のうち、2球団が競合したケースの抽選結果を調べたところ、チームごとの成績は以下のようになった。
※前身チーム、2004年に消滅した近鉄を含む ●セ・リーグ
巨人:競合回数 16回 抽選結果:9勝7敗(勝率約56.3%)
中日:競合回数 18回 抽選結果:10勝8敗(勝率約55.5%)
DeNA:競合回数 20回 抽選結果:10勝10敗(勝率50.0%)
ヤクルト:競合回数 24回 抽選結果:12勝12敗(勝率50.0%)
阪神:競合回数 21回 抽選結果:10勝11敗(勝率約47.6%)
広島:競合回数 23回 抽選結果:9勝14敗(勝率約39.1%)
●パ・リーグ
西武:競合回数 15回 抽選結果:10勝5敗(勝率約66.7%)
ロッテ:競合回数 24回 抽選結果:14勝10敗(勝率約58.3%)
楽天:競合回数 7回 抽選結果:4勝3敗(勝率約57.1%)
日本ハム:競合回数 19回 抽選結果:10勝9敗(勝率約52.6%)
オリックス:競合回数 24回 抽選結果:11勝13敗(勝率約45.8%)
ソフトバンク:競合回数 24回 抽選結果:9勝15敗(勝率約37.5%)
近鉄:競合回数 18回 抽選結果:8勝10敗(勝率約44.4%)
「2チーム競合」での対戦成績が最も優秀なのは西武。これまでに15回競合しているが、10度も当たりクジを引いており、勝率は脅威の約66.7%。6球団競合の
菊池雄星などを見事にモノにしてきた西武だが、タイマン勝負の強さも際立っている。また、ここ数年の驚異的なクジ運の強さが目立つロッテは最多タイの24回の2チーム競合を経験。にもかかわらず、勝率は約58.3%とかなり優秀。当たりクジに嫌われているイメージのある巨人も、1対1の対決となると勝率は約56.3%とそこまで悪くないようだ。
一方、タイマン勝負の弱さが目立つのがソフトバンクと広島。ソフトバンクは近鉄を入れた13球団でも最下位の37.5%と弱く、直近では
杉浦稔大や
大田泰示を2チーム競合で逃している。また、広島は2017年には
中村奨成を2チーム競合の末に獲得したが、それ以前では
森雄大、
増田達至と2年連続で1対1のクジで負けている。
最も多くぶつかっているのは……?
次は、チームの組み合わせごとの抽選結果を表にまとめてみた。
最も多くぶつかっているのは、ロッテとオリックス。これまでに
小川博(1984年)、
酒井勉(1988年)、
金田政彦(1992年)、
伊志嶺翔大(2010年)、
松永昂大(2012年)と計5回競合しており、対戦結果はロッテ3勝、オリックス2勝となっている。
また、4回以上競合している組み合わせの中で、比較的相性がいい(一方にとっては相性が悪い)のは、日本ハムとソフトバンク。これまで4度競合しており、日本ハムが
中島輝士(1988年)、
小川浩一(1987年)、
陽岱鋼(2005年、当時は陽仲壽)と3度交渉権を勝ち取っている。ソフトバンクとしてはドラフトでの天敵といえるだろう。
今年のドラフト会議は10月26日に行われる。スカウティングする上で重要な大会が新型コロナの影響で開催されないなど、例年とは異なる状況で行われるだけに、例年以上に競合シーンが増える可能性がある。2球団競合で強いチームが順調に勝利するか、それともこれまで好ましい結果を残していないチームが強運を手繰り寄せるか、ぜひ注目してもらいたい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM