
今季、シーズン途中に広島から楽天に金銭トレードで加入したD.J.ジョンソン
10月26日のドラフト会議がいよいよ迫ってきた。楽天は10月14日のスカウト会議で1位指名候補を投手2人、野手1人に絞ったという。
石井一久GMも投手を優先的に指名したいようだ。それは楽天の若手投手陣が育っていない状況も大いに影響している。エースの
則本昂大は今年で30歳、
岸孝之は36歳、今季加入し、11勝を挙げている
涌井秀章も34歳だ。さらに後半戦の失速も投手陣が踏ん張れなかったことが影響しており、将来のエース候補はもちろん、即戦力も必要になってきそうだ。
だが後半戦の失速は選手にのみ責任を押し付けるわけにはいかない。今季は4つのトレードを行った楽天だが、そのうち3人が投手にもかかわらず、目立った活躍をしている選手がいないのだから、これはトレードがうまくいったとは言えず、少なからずフロントにも責任はある。トレードで加入した投手の加入後の成績は下記のとおり(10月21日時点)。
6月29日に
ウィーラーとの交換トレードで加入した
池田駿は21試合に登板し、防御率4.32。7月15日に
高梨雄平との交換トレードで加入した
高田萌生は一軍登板なし。9月21日に金銭トレードで獲得したD.J.ジョンソンは9試合に登板し防御率3.24。
池田、D.J.ジョンソンはともに中継ぎでの起用であるから、登板数に物足りなさが残る。もちろん今季に限らず将来性に期待しての獲得という言い方もできるが、まだ優勝を狙える時期にあったチームの補強としては多少強引な理由にも聞こえ、トレードの状況を見れば優勝から遠ざかるチームの状況も納得はいく。
実績も十分な高梨を放出し将来性豊かな高田の獲得はドラフトを見据えてのことなのか――。9月30日に金銭トレードで
田中貴也を獲得した際、石井GMは「ドラフト戦略に一番の比重があった獲得だった」とし、ドラフトで捕手は指名しない方針を示唆したように、シーズン中の補強とドラフト指名は大きく関わっている。それだけに、誰を指名し誰を獲得できるのか、ドラフトには注目していきたい。
オフのFA戦線では補強に成功している楽天だが、今季のトレードに関しては成功とは言いにくい状況なだけに、名誉挽回のためにも、ドラフトでは確実に戦力となる選手の獲得といきたいところだろう。
文=阿部ちはる 写真=BBM