
今季、打率.328で首位打者に輝いた佐野
今シーズン、セ・リーグの首位打者となったのが
DeNAの
佐野恵太。打撃面で期待されながらもなかなか思うような成績が残せなかったが、プロ4年目の今季は
アレックス・ラミレス監督が開幕四番という大役に抜擢。佐野もその期待に応えるように安打を量産し、念願のタイトルを獲得した。佐野はもともとドラフト最下位指名と、チームの期待はそこまで高くなかったが、その評価を覆す活躍を見せたというわけだ。今回は、佐野のように最下位指名ながら、大きく飛躍を遂げた選手を紹介する。
戸郷に中川、早々に頭角を現した最下位指名選手

高卒2年目ながら9勝をマークした戸郷
今シーズン、大きく飛躍した最下位指名選手は佐野だけではない。見事に先発ローテーション入りし、
巨人の優勝に貢献した
戸郷翔征も、ドラフト最下位指名で入団した選手だ。2018年のドラフトで、チーム最下位となる6位で指名され巨人に入団した戸郷は、1年目から一軍昇格をつかみ取り、CSや日本シリーズにも登板。迎えた今季は、高卒2年目としては
桑田真澄以来となる開幕先発ローテーション入りを果たし、9勝6敗、防御率2.76と飛躍の年となった。
今季は大きく低迷してしまったものの、
オリックスの
中川圭太も低評価を覆した選手。戸郷と同じく2018年のドラフトで7位の最下位指名だったが、オープン戦で好結果を残し、シーズン早々に一軍に昇格。その後はコンスタントに活躍して出場機会を増やすと、迎えた交流戦で全18試合に出場し、12球団トップとなる打率.386をマーク。交流戦首位打者に輝いた。最終的に中川は打率.288、3本塁打、32打点を記録。チームに欠かせない選手へと成長した。2020年は打撃不振で45試合の出場にとどまったが、来季は巻き返しを期待したい。
最下位指名から活躍選手が多数出るソフトバンク
最下位指名選手の活躍が特に目立つのがソフトバンクだ。まずは、2013年のドラフトでチーム最下位の4位指名で入団した
上林誠知だ。プロ4年目の2017年に開幕一軍を勝ち取ると、そのままレギュラーにも定着。134試合に出場して13本塁打と、期待以上の活躍を見せた。翌2018年は全試合に出場し、22本塁打をマーク。リーグトップの14三塁打を記録したことも注目を集めた。しかし、2019年は骨折などケガの影響で不調に陥り、2020年も復調とはならず。厳しいシーズンとなった。
ソフトバンクの
嘉弥真新也も、2011年のドラフトでチーム最下位の5位指名で入団した選手。しかし、1年目から中継ぎとして重宝され、チームに欠かせない選手へと成長した。その後は2016年など不振のシーズンもあったが、2017年からは復調。今季も50試合で起用され、18ホールドを記録。通算300登板という節目となる記録も達成している。ほかにも、今季二軍で首位打者となった
三森大貴も最下位指名だった選手。一軍では昨季、今季ともに24試合とまだまだ定位置奪取とはならないが、今後要注目の選手だ。
活躍中のあの選手もチーム最下位指名だった

ロッテのクローザーに君臨する益田も最下位指名だった
各チームを見渡すと、実は最下位指名ながら活躍している選手は意外と多い。佐野と同じDeNAの選手では、2017年に首位打者となった
宮崎敏郎や、背中の違和感から途中離脱したが、今季先発の柱に成長した
平良拳太郎もドラフト最下位だった選手(平良は巨人に最下位指名で入団した後にDeNAに移籍)。
また、ロッテも最下位指名の評価を覆した選手が目立つ。今や現役屈指のリリーフに成長した
益田直也は、2011年ドラフトではチーム最下位の4位指名。しかし、1年目から中継ぎとして頭角を現し、確固たる地位を築いた。今季、先発ではチーム2番目となる9勝を挙げた
二木康太も、最下位指名で入団した選手だ。白星に恵まれない展開が多い選手だが、WHIPはリーグトップクラス。来季は投手タイトルが期待できる。
ほかには、
阪神の
岩崎優や
原口文仁、
楽天の
島内宏明もド最下位指名での入団と、ドラフト時の評価はそこまで高くなかった。しかし、与えられたチャンスを見事にモノにし、今の地位を手にしている。
最下位指名という低評価を覆し、見事な活躍を見せている選手を紹介した。今年のドラフトでも、
今川優馬(
日本ハム)や
仲三河優太(
西武)など、チーム最下位指名ながら魅力的な選手は数多くいる。もしかしたら、来季いきなり一軍で活躍する姿が見られる可能性もあるだけに、今から注目してはいかがだろうか。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM