今シーズン、セ・リーグは
巨人の
岡本和真、パ・リーグは
楽天の
浅村栄斗が本塁打王になったが、最後まで誰が獲得してもおかしくないほどの接戦だった。こうした本塁打争いの上位選手は、当然ながら試合数の多い本拠地球場での本塁打数が最多となっているが、それ以外の球場では何本の本塁打を放っているのだろうか? 今回は、本塁打王争いをした各リーグの上位3人を、「球場別成績」という視点で振り返ってみた。
阪神・大山は快挙を逃すも大健闘の1年

31本塁打で初のタイトルに輝いた岡本
まずはセ・リーグから見てみよう。
●第1位 岡本和真(巨人)……31本塁打
東京ドーム……19本
神宮……4本
マツダ
広島……4本
横浜……2本
ナゴヤドーム……2本
ほっと神戸……0本
甲子園……0本
セの本塁打王となった岡本だが、本拠地では19本と好調。また、ホームランのパークファクター(高いほど本塁打が出やすく、低ければ本塁打が出にくいという指標)が高い神宮でも4本塁打。また、パークファクターの低いマツダ広島でも4本としっかり結果を残している点も、本塁打王になれた要因だといえる。一方で、マツダ広島と並びパークファクターの低い甲子園では、
阪神バッテリーの警戒が強かったこともあり、1本も本塁打は出ていない。
●第2位
大山悠輔(阪神)……28本塁打
甲子園……12本
マツダ広島……6本
ナゴヤドーム……5本
横浜……3本
東京ドーム……1本
神宮……1本
京セラドーム……0本
阪神の日本人選手では、1984年の
掛布雅之以来となる本塁打王を3本差で逃した大山。本拠地・甲子園で12本。また、マツダ広島でも本塁打を量産しており、パークファクターの低い球場でこれだけの結果を残したのは立派のひと言。ただ、神宮や東京ドームでは各1本と打てておらず、これが岡本に届かなかったポイントだろう。
●同2位
村上宗隆(
ヤクルト)……28本塁打
神宮……15本
マツダ広島……4本
ナゴヤドーム……3本
横浜……3本
東京ドーム……2本
甲子園……1本
ほっと神戸……0本
大山と同数のヤクルト・村上は、本拠地の神宮球場で15本塁打。パークファクターの高い球場で試合数も多いため、できればもう少し数字を伸ばしたかったところだ。一方、東京ドームと甲子園ではそれぞれ2本と1本。相手バッテリーにうまく抑え込まれている。
パークファクターを考えると中田は実質本塁打王?

本塁打の出にくい本拠地・札幌ドームで15本塁打を放った中田
次に1位と2位が1本差だったパ・リーグの上位3傑の球場別本数をまとめてみた。
●第1位 浅村栄斗(楽天)……32本塁打
楽天生命パーク……21本
ZOZOマリン……3本
メットライフ……2本
PayPayドーム……2本
ほっと神戸……2本
札幌ドーム……1本
京セラドーム……1本
自身初の本塁打王となった楽天の浅村は、楽天生命パークで21本と本拠地でとにかく打ちまくった。また、量産とはいかなかったものの、ビジターでも全球場で本塁打を記録しており、今シーズンの好調さがうかがえる。
●第2位
中田翔(
日本ハム)……31本塁打
札幌ドーム……15本
楽天生命パーク……5本
ZOZOマリン……5本
メットライフ……4本
PayPayドーム……1本
京セラドーム……1本
わずか1本差で初の本塁打王を逃した日本ハム・中田翔。しかし、パークファクターを考えると、本塁打の出にくい札幌ドームで15本を放ったことは驚異的だといえる。また、本塁打争いのライバルの本拠地・楽天生命パークでも5本と大健闘。あと1本が出なかったのが惜しまれる。
●第3位
柳田悠岐(
ソフトバンク)……29本塁打
PayPayドーム……17本
楽天生命パーク……4本
ZOZOマリン……3本
メットライフ……3本
札幌ドーム……1本
京セラドーム……1本
ソフトバンクが本拠地とするPayPayドームも、今季は本塁打が出にくい球場だった。そんな中、柳田は17本塁打と好調だった。また、上位2人と同じく今季戦った全球場で本塁打をマーク。たらればだが、9月の失速がなければ本塁打王は柳田だったかもしれない。
両リーグの本塁打上位3傑の「球場別成績」を紹介した。試合数の多い本拠地での本塁打数が多くなるのは当然だが、それ以外に目を向けてみると「ライバルチームの球場では1本も打てていない」「本塁打の出にくいビジターでも結果を残している」など、特徴が見えて面白い。果たして来季もパークファクターの高い本拠地を生かした選手が本塁打王となるか、本塁打の出にくい本拠地の選手が巻き返すか、ぜひ注目したい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM