トライアウトだけで選手復帰の判断はどうか
トライアウトでの新庄
知り合いの社長、いや、CEOから言われた。
「なんで、どの球団も新庄さんを獲らないの」
12月7日、神宮球場での
新庄剛志のトライアウト挑戦が大きな話題になった。
阪神からメジャーに渡り、
日本ハムで日本球界復帰。2006年、日本一を花道に引退した選手だ。野球センスにあふれ、攻守に秀でていただけでなく、パフォーマンスも超一流の人気者だった。
ただ、長く球界から離れ、もう48歳だ。トライアウトで確かにヒットは打ったが、動きに往年の切れはなかった。
それで「いろいろ考えると、難しいんじゃないですか」と答えたが、
「でも、お客さんは来るよ。本人も客寄せパンダでいいって言ってるんでしょ」
と言われた。
確かに新庄を獲得すれば、必ず大きな話題となって、お客さんも来るだろう。どの球団も新型コロナで大きな経営面の打撃を受け、営業部門はのどから手が出るくらいほしいかもしれない。
でも、俺は客寄せパンダでという考えなら獲らないほうがいいと思う。
こう書くと、「やっぱり野球関係者は頭が固い」と言う人もいるかもしれないが、何年か韓国、台湾、あるいは独立リーグでプレーしていたらともかく、ずっと球界と接点がなかった新庄を、あのトライアウトだけで獲ったらプロ野球の根っこの部分が狂う。
毎年、毎年、シビアな実力勝負でクビになる選手がたくさんいるわけだしね。
紙の「週べ」の連載で書いたが、もし、選手として獲るなら、形だけ契約した後、独立リーグにレンタルし、そこで結果を出してからとか、それなりにハードルがほしい。
ただ、それは現実的には難しいだろう。
俺は新庄は選手ではなく、日本ハムのスペシャルアドバイザーになってほしいと思う。
今年、新型コロナがあったにせよ、日本ハムの観客動員は大苦戦をした。新庄ならプレーしなくても、あのチームを元気にすることができる。もっと言えば。日本ハムは大金出しても新庄に戻ってきてもらうくらいの恩があると思うしね。
北海道への定着、06年の日本一。新庄こそ最大の功労者だった。
写真=BBM