一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 好調なスタート切ったカービ・菅原
左から王、土井、長嶋
今回は『1972年5月8日号黄金週間特大号』。定価は120円。
前年はスタメンを外れることが多く、限界説もあった
巨人の
土井正三だが、この1972年は二番打者として開幕から活躍していた。
ライバルの
阪神・
江夏豊は言う。
「ONの前にランナーを出すなという言葉は、昨年はあまり頭になかった。土井がいないのと、王(貞治)さんが不振だったからだ。でも、うるさいのが戻ってきたんで、また注意しないとな」
土井は、もともとやや毒舌家タイプだったが、この年は、好調だけに舌がさらに好調となっていたようだ。
王が開幕戦の5打数4安打と大当たりの翌日、王に対し、
「王さんはいいですね。きょう4の0でも打率が4割あるんだもん。いや3試合打たなくても去年の最終打率(.276)を上回るんだもんね」
「打たなくていいと思ったら気が楽になって、また打てるでしょう。眉にしわを寄せる必要はないんでしょう」
「でも、二塁手が俺だったら王シフトをきちんとやっているから5の0だったなあ」
「夜中の1時か2時ごろ、王さんの部屋から変な笑い声がするのが聞こえるんだ。イヒヒヒッてね。気味悪い」
ポンポン話すから王もなかなか口をはさめず、最後やっと、
「金持ちケンカせずだ。なんでも言ってくれ」
とボソリ。確かに、かなり口が悪い。
4月18日現在、開幕から3勝2敗だった巨人。このうち2試合に登板し、2勝と好調だったのが、
菅原勝矢だ。あだなは「カービ」。東北秋田出身で「カーブ」をそう言っていたからついたという。
では、また月曜に。
<次回に続く>
写真=BBM