
今季は31盗塁を記録し、2年連続でタイトルを獲得した近本
誰もが「2年目のジンクス」にハマったと思った。開幕は
矢野燿大監督の意向で「二番」打者として迎えた。縛りが多い打順で、昨季以上に思考を研ぎ澄ませたことで、打撃に狂いが生じた。開幕した6月は打率1割台とまさかの事態に。7月に入っても調子が上がらず、月間打率.276と苦しんだ。
しかし、打順が一番に固定されると、積極的な打撃で復調してきた。「お客さんの声援がないとプレーしにくいです。ファンの声に体を押されますから」と無観客試合が決まったときにやりにくさを語っていたが、打撃が上向きになる時期と、コロナ禍の影響で人数が制限されながらも、観客が来場可能になった時期がかぶるのは必然のことだったのかもしれない。
その後、8月になると月間38安打と手が付けられなくなってきた。打撃好調とともに、盗塁の数も増え、9月には月間8個を記録。盗塁数でも頭一つ抜けた存在になった。
さらに11月1日の
DeNA戦(横浜)では2盗塁を成功させ、今季30盗塁に。入団から2年連続30盗塁以上での盗塁王は、セ・リーグでは1952、53年の
佐藤孝夫(国鉄)以来、67年ぶり2人目の偉業となった。
「しっかり走って、点につながる盗塁をこれからもやっていきたい」と常にチームのこと、試合状況を踏まえて重ねた盗塁で2年連続タイトルを獲得。虎のスピードスターの進化は止まらない。
写真=BBM