消えなかった野球への情熱
11月9日にZOZOマリンで行われた引退セレモニーでは、バッテリーを組んだ益田直也(右)、捕手の後輩・田村龍弘(左)から花束を手渡された
充実感がにじみ出る。
西武で
松坂大輔、
ソフトバンクで
和田毅や
攝津正ら、球界を代表する投手とバッテリーを組んできた背番号55の現役最終マスクは11月9日、
日本ハムとの今季最終戦(ZOZOマリン)。引退選手・特例登録でベンチに入ると、8回二死から代打で登場し「変にちょこちょこいくよりも最後までホームラン狙っていこう」と強振して空振り三振に。9回はマスクをかぶって2ラン被弾し苦笑いを浮かべたが、試合後にはナインの手で宙に舞い「こんなに長くプロの世界でやれるとは思ってもいませんでした」と19年のプロ生活に「おなかいっぱいです」と、笑顔がはじけた。
11月4日に戦力外通告を受け、引退を決意。西武、ソフトバンクでは正捕手として日本一に導くなど、キャリとともに年齢を重ねても野球への情熱は消えることなく、2017年から
楽天、19年から
ロッテと4球団を渡り歩いてきた。16年オフにソフトバンクからコーチの打診を受ける中で現役を貫いてきた男は「この年なのに選手として見てもらって、使ってもらって感謝しかない」と頭を下げる。勝利の味を知る40歳のベテラン捕手が現役に別れを告げた。
写真=BBM