2020年シーズンは、広島のルーキー・森下暢仁がプロ2ケタ勝利を挙げてセ・リーグの新人王に輝いた。個人タイトル争いでも上位に食い込んだだけに、2021年はさらなる飛躍が期待される。では、森下と同じく、過去に大卒1年目で新人王を獲得した選手は、2年目にどのような成績を残しているのだろうか?
2000年以降でジンクスに負けずに2年目も活躍した選手は?
新人王が制定された1950年以降、大卒1年目で新人王に選ばれた選手は全部で44人。今回は、2000年代に入ってからの大卒1年目新人王17人を対象に、「ジンクスに負けずに2年目も活躍した選手」と「残念ながら調子を落とした選手」を調べてみた。
1年目以上、または1年目と同等の成績を残すといった、「2年目のジンクスに負けずに活躍した選手」は、以下の6名が挙げられる。
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石川雅規(
ヤクルト)
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野村祐輔(広島)
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益田直也(
ロッテ)
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則本昂大(
楽天)
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山崎康晃(
DeNA)
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有原航平(
日本ハム)
2002年に12勝を挙げて新人王となったヤクルトの石川は、翌年も先発ローテーションの一角として再び12勝をマーク。崩れる場面はあったが、十分に活躍したといえる。
また、2012年の新人王である広島の野村は、1年目は9勝11敗だったが2年目は12勝6敗と躍進。先発の柱に成長した。野村と同じ2012年に新人王になったのがロッテの益田。中継ぎとして新人最多記録となる41ホールドをマークし、翌年は抑えに起用され、リーグ最多セーブのタイトルを獲得した。

新人時代の楽天・則本昂大
楽天の則本は2013年に15勝を挙げて新人王を獲得。翌2014年は、勝ち星は1年目より1つ少ない14勝だったが、完投、完封、奪三振、防御率は飛躍的にアップ。特に奪三振はリーグトップで自身初のタイトル獲得となった。
DeNAの山崎と現在はMLBに所属する有原は、ともに2015年の新人王。山崎は1年目に新人最多セーブ記録を更新したが、2年目も33セーブと変わらぬ活躍を見せた。有原は8勝6敗と新人王としてはやや物足りない成績だったが、2年目は11勝9敗と成績が向上。チームの日本一に大いに貢献した。
判断が難しいのが2011年の新人王の
澤村拓一だ。1年目に11勝を挙げた澤村は、2年目も10勝を記録。
巨人では
堀内恒夫以来となる新人からの2年連続2ケタ勝利となったが、敗戦数も10敗。1年目も11勝ながら11敗と、勝った分だけ負けている。とはいえ、負け越していないので、「ジンクスには負けなかった」といえるだろう。
2年目に大きく成績を落とすケースも多い
残念ながら新人王を獲得した1年目よりも成績が下がってしまった選手は以下の10人。
和田毅(ダイエー)
木佐貫洋(巨人)
川島亮(ヤクルト)
八木智哉(日本ハム)
上園啓史(
阪神)
小川泰弘(ヤクルト)
大瀬良大地(広島)
高山俊(阪神)
京田陽太(
中日)
東克樹(DeNA)
2003年新人王の和田は1年目に14勝を挙げたが、2年目はたび重なるケガで登板数は減少し、10勝6敗に終わった。勝ち越してはいるものの、残念ながら1年目以上の成績とはならなかった。ヤクルトの川島と小川も、前年よりそこまで大きく成績は落としていないが、どちらも2ケタ勝利には届かず。前年の新人王としては物足りない成績に終わっている。
2年目に不調やケガが原因で特に大きく成績を落としたのが、木佐貫、八木、上園、大瀬良、高山、東の6人だ。
1年目に10勝7敗で新人王となった木佐貫は、2年目は不安定な投球が続いて7勝8敗と負け越し。一時抑えに回るも不振から抜け出せなかった。八木は1年目に12勝と目覚ましい活躍を見せたが、翌年はわずか4勝。2007年の新人王・上園は不振で一軍から遠ざかり、こちらも4勝に終わっている。
大瀬良は10勝を挙げた1年目から別人のように不振に陥った。途中で中継に起用されるも最終的に3勝8敗と負け越し。先発としてほとんど仕事ができないシーズンとなった。阪神の高山も打率や打点などの成績が軒並み1年目を下回り、大きく評価を落とした。
2018年に11勝を挙げたDeNAの東は、左ヒジの炎症が原因で投げられない時期が続き、復帰後も思うようなピッチングができず。シーズン半ばで戦列を離れ、成績は4勝2敗に終わった。2020年も左ヒジが完治せずに手術を行ったため、1年を通して離脱。2021年は復活が期待される。
2000年以降の大卒1年目新人王で、2年目のジンクスに負けずに活躍したのは澤村も含めた7人。それ以外の10人は残念ながら1年目より成績を落としている。森下と同じく広島の大卒1年目新人王では、野村が翌年も活躍し、大瀬良が大不振に陥っている。果たしてどちらのルートをたどるのか、森下のピッチングに注目だ。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM