
チーム合流2日目の2月12日に早速ブルペン入りしたオリックス・平野佳寿。グラブの色は、もちろん──
今季で日米通算16年目。第一線のマウンドに上がり続けるのは、揺るがぬ思いがあるからに、ほかならない。2018年1月、メジャー挑戦を前にした平野佳寿は、こう言った。
「どこまで自分を信じていけるか。これから年齢を重ねていきますけど、コンディションをしっかり整えていきたいし、目標は毎年変わらない。1試合でも多く登板することです」
求められた場所で結果を残す。そのために最善を尽くしていく。登板機会は試合展開に応じてとなるリリーバーこその矜恃は、残す数字にも表れ、メジャー3年間で150試合に登板。日本でもオリックスで中継ぎ抑えとして奮闘し、100ホールド、100セーブを挙げている。
今季、オリックス復帰が決まると、会見でも変わらぬ思いを口した。
「今までここ投げたいと言ったことは1回もない。GM、監督に先発で行けと言われれば、行ける準備をしようと思います。どこでも頑張ります」
ヤンキースから
楽天に復帰した
田中将大を引き合いに「田中君も帰って来たけど、平野もついでに帰って来た、くらいに見てもらえたら」と語るなど、ユーモアあふれる性格も、この男の魅力だが、根底にはブレることのない芯の強さがある。「自分を信じること」は最たる例だが、象徴するのが手にするグラブだ。
オリックス入団2年目の2007年からクラブの色は、一貫して『黒』。先輩・
吉井理人(現
ロッテ投手コーチ)から「色が付いていると、球種によってグラブの位置が変わった場合、そのクセがバレやすい」という助言を受けて使い始めた。以降、変わることはない。
「クセを隠すのも大事なこと」──。
1点の重みを理解するからこそ、グラブに奇抜さを求めることはない。こだわりの色は、メジャーでも変わらず、そして今春キャンプも不変だった。
大谷翔平(エンゼル)と同時期に海を渡り、田中とともに日本復帰と、注目度は低くても第一線に立ち続ける男は、自分を持っている。揺るがぬ信念を胸に、そしてチームを勝利に導くために──。プロ16年目もマウンドに上がる。
写真=BBM