新人の奮闘で厚みが増したリリーフ陣

ドラフト3位の大道温貴。ルーキーながら勝ちパターン継投で起用される可能性も十分だ
中には短いチームもあったが、約1カ月に及んだプロ野球各球団のキャンプも打ち上げとなった。
佐々岡真司監督2年目で3年ぶりのVを目指す
広島も今週末からオープン戦に入っていくが、ここではキャンプの状況などから、現時点で見えてくる開幕一軍メンバーの構想などを考えてみたい。
今キャンプでは、
ケビン・クロンを除く新外国人選手のキャンプ不参加、
ヘロニモ・フランスアと
アレハンドロ・メヒアの新型コロナウイルス陽性による合流遅れがあったほか、感染拡大予防もあり、キャンプ途中での一、二軍の入れ替えは最小限にとどめられるなど、例年とは少し違う側面も見られた。このため、開幕の戦力構想は、とりあえずはキャンプに参加できなかった新外国人選手は計算に入れず、その他の選手も一軍でキャンプを過ごしたメンバーから大きく変動がない形で組まれる公算が高いと思われる。
まず先発投手から展望していくと、先日、3年連続の開幕投手が決まった
大瀬良大地に、昨年の新人王の
森下暢仁、昨年8勝を挙げた
九里亜蓮の3人が先発ローテーション確定、昨年1年間、ローテーションを守った
遠藤淳志も有力だ。順当なら、今季左腕エースの期待がかかる
床田寛樹が入ってくるが、2月21日の
阪神との練習試合(かりゆしホテルズ宜野座)で、アクシデントがあり途中降板しているのが気がかり。おそらくは軽いもので、開幕に影響はしてこないと思うが……。
残りのイスは、現状では、今季から腕の位置を少し上げ、球威の出てきた2年目の
テイラー・スコットが有力か。ただ、4月にいったん帰国予定という情報もあり、そうなると昨年終盤に実績を残した
中村祐太や、
矢崎拓也が食い込んでくるチャンスも。ファームキャンプ組では、左腕が少ないチーム事情から、今季から先発転向を目指す
中村恭平や、一軍スタートながら利き腕に打球を当てたため、いったん再調整となっていた
高橋昂也が、調子が上がってくれば目を向けられる可能性があるか。あとは新外国人の
ネバラスカス待ち、という感じになりそうだ。
一方、去年課題を残したリリーフのほうは、ドラフト1位・
栗林良吏、2位・
森浦大輔、3位・大道温貴の新人3投手の奮闘で、候補者の頭数が飛躍的に増えた。フランスアが調整遅れの場合に勝ちパターン継投を担う3人は、まだまだこれからのオープン戦次第という面はあるが、現状では、ストレートを主体にした強気の投球がリリーフ向きな大道と、昨年実績をつくった左腕の
塹江敦哉がうち2人を占めることが有力。あと1人はこのままいけば栗林になる可能性が最も高そうだが、ボールの力は十分あるものの、まだクローザーを任せるにはボールが全般に高い感じもあり、昨年頑張った
ケムナ誠や、快速球を持つ
島内颯太郎を含めた争いが続きそうだ。
そこで勝ち残った投手に、フランスアを加えた4人で勝ちパターン継投を組み、1人を休ませながら使う形ができれば理想的。ドラフト2位の森浦も実戦的で開幕一軍は有力。クローザー争いから回ってくるメンバーを加えれば、ゲーム中盤の中継ぎも人数的には十分まかなえる。栗林の長いイニングのテストはまだされていないが、栗林かケムナのいずれかをロングリリーフ要員に置くぐらいの形になれば昨年とは段違いの厚みだ。
内野のレギュラー争いは無風
一方、野手は、昨年2番手捕手となった
坂倉将吾の故障で、捕手の一軍枠をめぐる争いが今後、し烈になるだろう。
會澤翼は確定だが、残りはどうなるか。現状では若手の
石原貴規、
中村奨成がともにいいアピールを見せているが、今季は捕手3人制になることが有力で、そうなるとキャリアのある
磯村嘉孝も落としづらく、悩みどころとなりそうだ。
内野のレギュラー争いは無風に近く、控えの若手選手もそれぞれにいいアピールを見せているので、ほぼ一軍キャンプメンバーのまま行くことが有力だろう。ただ、外国人枠に余裕があるので、
メヒアを上げようとなった場合に、控え組の誰と入れ替えるか、というところは出てくるかもしれない。
外野は、
野間峻祥と
大盛穂のセンターのレギュラー争いがまだこれからだが、一、二軍の振り分けという点では、こちらも一軍キャンプメンバーがそのまま残ることが有力。あとは
西川龍馬が復帰してきたときにどういう構成にしていくか。このあたりは西川がどのポジションにつく構想になるかで、また変わってきそうだ。
文=藤本泰祐 写真=BBM