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背番号物語

【背番号物語】日本ハム「#11」21世紀にダルビッシュから大谷へ。系譜が“二刀流”を予言していた?

 

世界へ羽ばたくエースナンバー


日本ハムで入団から7年間、「11」を背負ったダルビッシュ


 背番号の系譜を物語る上で、最大の敵(?)といえるのが日本ハムだ。正式な永久欠番はなし。他のチームに比べて系譜の一貫性に欠ける印象があり、特に近年は意表を突いてくるようなケースが多く、「18」だった斎藤佑樹が「1」に変更したり、2019年に入団した新人の清宮幸太郎が「21」を与えられたりしたのは代表例だ。

 そんな日本ハムにあって、系譜に強い意図が感じられる例外的なナンバーが「11」。とはいえ、それも21世紀に入ってからで、20世紀のうちは一貫性がなかった。一般的に10番台は投手の背番号で、その“1番手”としてエースが着けることが多い「11」。日本ハムの「11」は2018年から欠番が続いているが、それには現時点で最後に「11」を背負った大谷翔平の存在が大きいだろう。その前任者は高校生ドラフト1巡目で05年に入団したダルビッシュ有だ。この2人がメジャーでも結果を残していることで、日本ハムの「11」にはチームのエースナンバーにとどまらず、世界へ羽ばたくエースの系譜という意味も持つようになっている。

 2年目の06年に日本ハムが北海道へ移転して初めてのリーグ優勝、日本一の起爆剤となったダルビッシュ。シーズンでは初の2ケタ12勝、中日との日本シリーズでは3勝1敗と王手をかけて迎えた第5戦(札幌ドーム)で勝利投手となり、リーグ連覇の翌07年には15勝、210奪三振で初タイトルとなる最多奪三振に加えて、沢村賞とMVPにも輝いて、3年目にしてエースの座を不動のものにした。その翌08年には自己最多の16勝、続く09年からは2年連続で最優秀防御率に。10年からは2年連続で最多奪三振。11年オフにレンジャーズへ移籍したが、6年連続の2ケタ勝利、5年連続の防御率1点台という卓越した安定感だった。その後はドジャース、カブスを経て、迎えた21年はパドレスでプレーする。

ダルビッシュの「11」の後継者となった大谷


 このダルビッシュのメジャー移籍により日本ハムの「11」は欠番となったが、ドラフト1位で13年に入団した大谷が後継者となって、“二刀流”選手として始動する。翌14年から3年連続で2ケタ勝利。15年は15勝、防御率2.24で最多勝、最優秀防御率に加え、勝率.750で最高勝率にも。本格的に“二刀流”が解禁された16年にはタイトルこそならなかったが、投手として10勝を挙げ、打者としては22本塁打を放ってリーグ優勝、日本一の立役者となってMVPに輝いている。18年からはエンゼルスでプレー。右ヒジ手術もあったが、21年は“二刀流”の復活に懸ける。

 この2人は現役でもあり、過去の系譜にいる選手たちが色あせて見えてしまうことも仕方のないことかもしれない。さすがに投手の多い系譜だが、そんな中で輝くのは、「11」では異例の打者だ。

日本ハムで通算2000安打の大砲も


中日から移籍してきた大島は日本ハムで「11」を着けた


 初代の家村相太郎は高校野球の指導者としても名を残すが、プロとしてもペナントレースが始まった1936年から外野に内野も兼ねて活躍した打者で、戦後の46年に日本ハムの起源となるセネタースで復帰するも、1年で引退。その後は投手の出沢政雄と野手の滝田政治が1年ずつリレーして、捕手から内野手に転じた4代目の原田清から安定する。原田は49年から56年まで背負って引退。57年に継承した内野手の稲垣正夫も64年に引退するまで一貫して「11」だった。この2人の8年間が系譜で最長だ。

 原田の後継者となった5年目の萩原千秋も外野手で、71年まで7年間。翌72年からは藤原真渡辺秀武坂井勝二と他のチームで実績のある投手たちが短期間でリレーして、ようやく投手ナンバーらしくなる。78年からは宮本好宣田中富生と投手が5年ずつ。だが、88年に中日から移籍してきた和製大砲の大島康徳が「11」を背負い、新天地でも主力となって90年に通算2000安打に到達する。大島が94年オフに引退すると、松浦宏明岡本透下柳剛が小刻みにリレーして、97年に5年目の山原和敏、2002年には山口弘祐と、投手ナンバーに戻って、ダルビッシュに至る。

 これほどまでに野手の目立つ「11」は珍しいが、かえって系譜の物語が妙に辻褄が合ってくるのだから、背番号とは不思議なものだと思わされる。

【日本ハム】主な背番号11の選手
原田清(1949〜56)
稲垣正夫(1957〜64)
大島康徳(1988〜94)
ダルビッシュ有(2005〜11)
大谷翔平(2013〜17)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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