先発が19試合連続で早いイニングで降板なし

開幕投手を務めた藤浪を筆頭に先発陣がしっかり仕事を果たしている阪神
4月14日の
広島戦(甲子園)から3試合連続完封を含め、33イニング連続無失点を記録し現在、15勝4敗で首位に立っている阪神。原動力は何と言っても先発陣の好投に尽きる。先発ローテーション6人中5人の平均投球回数が6回を上回っており、5.92回の
藤浪晋太郎も、4試合登板中2試合で6回以上を投げている。そして何より、6人中5人の防御率が1点台という驚異の数字を残している。
4月16日の
ヤクルト戦(甲子園)で3試合連続完封を飾った試合後に、矢野耀大監督は「特にピッチャーがリズムを作ってやってくれているのが、連勝につながっている」と語ったが、先発陣の奮闘に手応えを感じている様子だ。
この阪神に勢いをつけたのは、開幕投手を務めた藤浪晋太郎だ。開幕のヤクルト戦(神宮)で勝ち星は付かなかったが5回を投げ2失点で抑え、チームの勝利に貢献。当初はエースの
西勇輝が開幕投手最有力候補だったが、ぜんそくの症状などで調整が遅れ、藤浪に白羽の矢が立った。藤浪自身も「2年間で1勝の投手が開幕投手を務めるのは一種の賭け。でも、それがうまくいったという面はあるかもしれない」。この試合をきっかけに開幕3連勝で波に乗ったのは間違いない。
2番手、3番手に入る
青柳晃洋と
ガンケルの安定感も抜群だ。3年連続で先発ローテを守る青柳は、直近は2試合連続で7回以上を投げ切り、無失点と安定感を見せている。3番手のガンケルは、強いハングリー精神で投げている。二軍では新加入の日米での実績十分のチェンが先発で好投。さらには4月初めに、昨季韓国リーグで20勝2敗の成績を残した
アルカンタラが来日。ガンケルが調子を落とせば2人と入れ替わる可能性があるという危機感がある。
その中で、日本式の配球にも昨季から興味を持ち、正捕手・
梅野隆太郎のリードを理解しながら丁寧に投げ、防御率0点台をキープ。好投の要因はストレートとツーシームの球速平均が145キロとほぼ同じで、カットボール、チェンジアップ、スライダーが135キロ前後のため、打者は見極めが難しくなっているためだ。
裏ローテに目を向けると、4番手にエース・西勇、5番手に新人の
伊藤将司、6番手に
秋山拓巳と右左右とジグザクに並び、ベテラン2人と新人を組み合わせて、相手打線の目線を変えている。
西勇については今季もイニングイーターぶりは健在で、投球回数で先発陣最長の数字をたたき出している。新人・伊藤将は、一人だけ防御率2点台ながら、ダイナミックな投球フォームから内外角にしっかりと投げ分ける。4月7日の
巨人戦(甲子園)でも昨季の覇者を相手に7回1失点の好投で、首脳陣が抜てきしただけの実力を見せた。6番手の秋山は3試合ともクオリティースタートを達成。140キロ前後の真っすぐで丁寧にコーナーを突く投球がさえわたっている。
先発の好調さが打線へ好影響
この6人の先発で、4回までに失点を許したのは19試合中6回。そのすべてが1イニング1失点のみ。相手打線にビッグイニングを作らせていないのだ。防御率1点台の藤浪、青柳、ガンケル、西勇、秋山の5人は特に試合をうまく奏でるクインテット(五重奏)のように、次の先発へといい流れをつないでいる。
打線も活発で、チーム打率.262はリーグ1位。盗塁は20回試みて2度の失敗のみの18個で成功率もリーグ1位。本塁打も18でリーグトップ。さらに犠飛もリーグトップの10と好調だ。先発陣がなかなか相手に点を与えない状況が出来上がり、地に足を着けて攻撃ができているという点が大きい。もちろん、勝ちパターンの
岩貞祐太、
岩崎優、
スアレスの3人も防御率1点台とすごい。だが、今のところ先制すれば15連勝となっているが、これもすべて先発陣6人がそれぞれ、自分の持ち味を出しているからにほかならない。
宿敵・巨人もなかなか負けない状態の3ゲーム差の2位で、4月20日から敵地・東京ドームで序盤戦の首位攻防3連戦が始まる。ここでも先発陣が同様の働きをすれば、首位独走態勢を築く可能性は十分にある。
写真=BBM