プロ野球の歴史を紐解くと、個性的な打撃フォームで活躍した選手が金字塔を立ててきた。「一本足打法」で通算868本塁打を記録した
王貞治、「振り子打法」で日米通算4367安打をマークした
イチロー、打席で構える際に背中を後方に反る独特の構えが特徴だった
アレックス・カブレラ、バットのヘッドを天井に突き上げるようにした構えで手首を動かしてタイミングを取っていた
タフィ・ローズ……。現役の選手ではフォロースルーが美しい
吉田正尚が人気だ。その中でも打撃フォームが「かっこいい選手」として、名前が挙がる選手が
落合博満、
中村紀洋、
小笠原道大の3人の強打者だ。
芸術的な「神主打法」

ロッテ・落合博満
・落合博満(ロッテ、
中日、
巨人、日本ハム)
※NPB通算成績 2236試合出場、打率.311、510本塁打、1564打点
三冠王を3度獲得した史上唯一の大打者。プロ20年間で首位打者、本塁打王、打点王をいずれも5度獲得し、MVPを2度受賞した。ロッテ時代のプロ2年目に春季キャンプで
土肥健二の打撃を見て、握りが柔らかい構えからしなやかなバットスイングが自分に合うと感じてマネした打撃フォームが土台に。打撃技術を磨いて習得した「神主打法」は体の中央付近でゆったりとバットを立てて構え、弓を引くようにバットを引いて力をためてから、球を手元まで引き付けて広角に長打を打ち分ける。その打撃はまさに芸術だった。
フォロースルーが代名詞

近鉄・中村紀洋
・中村紀洋(近鉄、米国・ドジャース、
オリックス、中日、
楽天、
DeNA)
※NPB通算成績 2267試合出場、打率.266、404本塁打、1348打点、22盗塁
※MLB通算成績 17試合出場 打率.128、0本塁打、3打点、0盗塁
左足を開いたオープンスタンスにバットのヘッドを投手側に倒した独特の構えから、左足を蹴り上げるように高々と上げてインパクトで球をすくい上げる。打った後にバットを放り投げるフォロースルーが代名詞だった。長打力だけでなく、手首を柔らかく使いバットコントロールも絶妙だった。落合博満の打撃の映像をVHSのテープが擦り切れるほど見て研究することであみ出した打法で、本塁打王1度、打点王を2度獲得。2007年に中日で日本シリーズMVPを受賞した。
迫力のフルスイング

日本ハム・小笠原道大
・小笠原道大(日本ハム、巨人、中日)
※NPB通算成績 1992試合出場、打率.310、378本塁打、1169打点、63盗塁
相手投手と対峙する瞬間にバットのヘッドを大きく斜め前に伸ばすのが特徴で、ヘルメットが飛ぶほどのフルスイングで他球団の投手を震え上がらせた。日本ハム時代は口ヒゲをたくわえた野武士のような風貌で、その打撃フォームは子どもたちに人気だった。豪快なフルスイングだがバットの芯にコンタクトする能力が非常に高く、首位打者、最多安打を2度、本塁打王、打点王を1度ずつ獲得。打率3割30本を9回達成は歴代2位の記録で長年にわたり高水準の成績を残し続けた。
写真=BBM