
今季、メジャーで本塁打を量産している大谷(写真=Getty Images)
エンゼルスの
大谷翔平が、5月7日(日本時間)に行われたレイズ戦でリーグトップタイとなる10本目の本塁打を記録。これでMLB公式戦で放った本塁打の数は通算57本となった。大谷の本塁打といえば、センター方向への打球が多いことで有名。今季開幕前には、MLBで放った47本のうち24本がセンター方向のものだったと『MLB.com』で紹介され、話題になったほどだ。では、日本球界時代はどうだったのだろうか?
日本ハム所属時に放った本塁打の「方向」を振り返ってみた。
日本球界時代にも「中」方向の本塁打は多かった
大谷は、日本ハムに所属した2013年から2017年までに48本の本塁打を記録している。この48本の飛んだ方向を公式記録と同じように「中」「右中」「左中」「右」「左」の5つに分類。その結果、それぞれの本塁打数は以下のようになった。
・「中」方向……11本
・「右中」方向……10本
・「左中」方向……6本
・「右」方向……10本
・「左」方向……11本
最多は「中」方向と「左」方向でともに11本放っている。次いで10本の「右中」方向と「右」方向。「左中」方向が最少で6本という結果になった。「中」方向への本塁打は11本で最多ではあるが、「右中」「左中」もすべて「センター方向」というくくり(やや強引ではあるが)にすれば、合計で27本。日本球界時代の48本塁打のうち、約56パーセントがセンター方向の打球となる。つまり、大谷はアメリカに渡る前から、センター方向に力強い打球を放っていたということだ。
ちなみに、大谷の記念すべき第1号は、2013年7月10日の
楽天戦(koboパーク宮城)。
永井怜からライト方向に豪快な一打を放っている。大谷の一発目は「右本塁打」だったのだ。また、大谷から最も多く本塁打を打たれているのは元
オリックスの
東明大貴で、2015年9月5日、2016年3月30日、2016年5月11日に被弾している。
本拠地では苦戦していた大谷

日本ハムで年々、打撃を進化させていった(写真=BBM)
最もパワーを必要とする「中」方向への本塁打だが、シーズンごとに分けると以下のようになる。
・2013年……3本中1本
・2014年……10本中3本
・2015年……5本中0本
・2016年……22本中5本
・2017年……8本中2本
日本最終年となる2017年はケガの影響で成績は下降したが、16年は自身最多の22本塁打を放ち、「中」方向への本塁打も増えている。力強い打球を打ち返すパワーが徐々に備わってきたことで、センター方向への打球が増えたと考えられるだろう。
ただ、仮に日本ハムの本拠地が札幌ドームでなければ、「中」方向への本塁打はもっと増えていたかもしれない。というのも、大谷が所属していた日本ハムの本拠地である札幌ドームは、両翼100メートル、中堅122メートル、外野フェンスは高さ5.75メートルになる、日本屈指の広さを誇る球場。そのため、「本塁打が出にくい球場」でもあるのだ。フェンスの高さゆえにフェンス直撃弾も多く、昨季は
中田翔がフェンス直撃を9回記録。あと少しフェンスが低ければ本塁打王になれたかもしれなかった。
大谷の場合はどうなのかというと、NPB時代の48本のうち、札幌ドームでの本塁打は18本。本拠地にもかかわらず本塁打数は少ない。さらに、札幌ドームでの「中」方向への本塁打はわずか2本しか打てていない。大谷といえど、国内屈指の本塁打パークファクターの低さを誇る札幌ドームで中方向に飛ばすのは難しかったのだ。
大谷翔平が日本時代に放った本塁打の「飛んだ方向」にフォーカスを当ててみたが、日本球界時代からセンター方向への打球は多かったようだ。メジャーの舞台でも変わらずセンター方向の打球を量産し、多くのファンを驚かせている大谷。今後、どれほどの活躍を見せてくれるのか楽しみは尽きない。
文=中田ボンベ@dcp