
05年以降、Bクラスはわずか3回の巨人。そのほとんどで原辰徳監督がチームを率いている
プロ野球12球団で、最も安定した強さを誇るのは巨人だろう。1リーグ制時代を含め、リーグ最下位になったのは1度だけ。ここ10年で見ても、優勝5回、Aクラス入り4回と、調子が悪いシーズンでも極端に下の順位になることはない。では、反対に優勝もするが下位も多いといった、上下動の激しいはどこなのだろうか?
セ・リーグで上下動が激しいのはヤクルト?
今回は、2005年以降のリーグ順位を基に、12球団の乱高下具合を調べてみた。まずはセ・リーグから、2005年から2020年までの各球団の順位は以下のとおり。

05年以降のセ・リーグ順位表
先述のように、Bクラスが3回あるものの、やはり巨人は安定して上位に位置している。一方、「安定して低迷」しているのが
DeNA。リーグ2位は1度あるものの、中段以下は定位置になってしまっている。2005年から2012年までは巨人以上に安定していたものの、2013年から突如として下降したのが
中日。昨季はリーグ3位と持ち直したものの、急降下具合が目立つ。それ以外の
阪神、
広島、
ヤクルトはリーグ優勝だけでなく最下位も記録と、上下動が激しい。広島は「登って下る」という推移だが、阪神とヤクルトは低迷したと思ったら次のシーズンは上位進出と慌ただしい推移になっている。
数字を並べるだけでは上下動が分かりにくいので、各チームの順位を折れ線グラフで表してみた。

05年以降のセ・リーグ順位遷移
上下動が激しいのがヤクルトだ。最下位→Aクラス→最下位といった極端な動きが多く、他チームよりグラフのアップダウンが大きい。阪神も上下動はあるが、ヤクルトほどではない。また、こうして見ると、中日の没落模様や、広島の急上昇、急降下ぶりも分かりやすい。特に広島のグラフは、「急坂を登って急降下」という、まるでジェットコースターのような動きだ。
入れ替わりが激しい群雄割拠のパ・リーグ
次にパ・リーグ。2005年から昨シーズンまでの順位は以下のようになっている。

05年以降のパ・リーグ順位表
巨人という安定した存在がいたセ・リーグと異なり、パ・リーグはどのチームも上下動が大きい。ここ数シーズン強さを見せている
ソフトバンクも最下位を経験していたり、Bクラスからの極端な上昇を見せたりしている。
西武や
ロッテも上下動が激しいが、やはり注目は
日本ハムと
楽天だろう。この2チームはリーグ1位になった翌年に最下位という、大落下を経験している。カオス状態のパ・リーグだが、折れ線グラフにすると以下のようになる。

05年以降のパ・リーグ順位遷移
先ほどのセ・リーグのグラフと比べると「ぐちゃぐちゃ」なのが分かるだろう。特に上下動が激しいのが日本ハム。5位からリーグ連覇したこともあれば、リーグ優勝から最下位、リーグ優勝から5位転落と急落下も見せている。この動きはヤクルト以上だろう。また、日本ハムが優勝から最下位になった年は楽天が優勝したが、その楽天は翌シーズンに最下位転落。「2年連続で前年優勝チームが最下位転落」という珍しい出来事となった。
ちなみに、極端な上下動を見せたヤクルトと日本ハムのみの折れ線グラフは以下のようになる。

05年以降のヤクルト、日本ハム順位遷移
くしくも、両チームどことなく似た順位になっている。今季は6月22日時点でヤクルト2位タイ、日本ハム6位とお互いの順位は異なるが、気が付けば同じような順位に落ち着いている可能性もあるだろう。
2005年以降の順位を折れ線グラフで調べたところ、セ・リーグがヤクルト、パ・リーグは日本ハムが極端に上下動が激しいチームだといえる。これだけ不安定だと応援しているファンもたまったものではないが、このスリリングさも、ある意味で魅力なのかもしれない。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM