初戦は7回コールド

早実・清宮福太郎(3年)は春21回、夏29回の全国大会出場を誇る名門校を、主将としてけん引する
2015年以来の夏の甲子園出場を目指す早実は7月19日、西東京大会でヤマ場を迎える。
大成高との初戦(7月14日、2回戦)を7回
コールド(9対2)で突破し、3回戦で第4シードの佼成学園高と対戦する。
早実は昨秋の東京都大会8強進出も、今春は国学院久我山高との1回戦で敗退(1対4)。今夏はノーシードで迎えていた。一方、佼成学園高は昨秋、今春とも東京大会16強で、3回戦では二松学舎大付高に敗退。今春の2回戦では修徳高のプロ注目右腕・
床枝魁斗(3年)を攻略した実績がある。両校は拮抗した戦力で、好勝負が展開されるのは間違いない。
早実の主将は清宮福太郎(3年)である。4歳上の兄・
清宮幸太郎(現
日本ハム)に続き、同校でチームリーダーを務める。主な高校生でトップとされる高校通算111本塁打を放った兄は左のスラッガーに対して、弟は右のパワーヒッター。182センチ96キロ。左右で異なるとはいえ、身のこなしが似ている。報道陣から「仕草が似ていると言われるのでは?」と聞かれると「多少は、言われます」と照れくさそうに話していた。
兄は1年夏の甲子園で準決勝まで勝ち上がり、主将として臨んだ3年春のセンバツは、2回戦へ進出した。一方、弟の福太郎は甲子園の土を踏んでおらず、今夏がラストチャンスだ。
「いろいろなことがあって、それを乗り越えてきた代という自覚がある。ゲームの中での山というのも、チーム全体で1試合1試合、集中して越えれば、その先に甲子園がある」
1年秋(19年秋)は部員の不祥事により、出場辞退。2年春(20年春)は新型コロナ禍で中止となり、同夏は甲子園出場をかけた西東京大会が中止。代替で開催された独自大会は清宮など下級生も出場したが実質、昨秋が初の公式戦だった。上限はあったものの、有観客試合も初めての経験。そして、今春は初戦敗退の屈辱を味わった。さまざまな悔しさを糧にして、集大成の夏を戦っている。
早実・和泉実監督は「大会中に違った顔を見せることもある」と、緊迫感がある夏の1試合は、何倍も成長する可能性を秘めているという。佼成学園高との西東京大会3回戦は、主将・清宮の真価が問われるステージとなる。
文=岡本朋祐 写真=矢野寿明