2014年秋のドラフトでは1位で岡本和真が巨人、野間峻祥が広島、山崎康晃がDeNAに指名された。この年の指名選手は今年で7年目を迎えるが、“出世頭”と言える選手は果たして誰か? セ・リーグ6球団の「2014年ドラフト指名組」の現状を見ていこう。 記録は前半戦終了時 読売ジャイアンツ

巨人・岡本和真
支配下4人、育成4人の、巨人にしては少数の指名で、今季も現役としてチームに残っているのは2人だけ。2位の
戸根千明は入団から2年連続で40試合以上に登板し、その後は故障などもあり、昨季は一軍出場ゼロと苦しんだが、ここまで136試合に登板している。一番の出世頭は1位指名の期待どおりに岡本和真だ。高卒だった岡本は戸根とは異なり、入団3年間で一軍35試合の出場にとどまり、13安打1本塁打となかなか結果が出なかったが、4年目の18年に一軍に定着。
高橋由伸監督(当時)によって四番に抜擢され、この年、33本塁打、100打点、打率.309の、「3割30本塁打100打点」をNPB史上最年少でクリア。以降は不動の四番として君臨し、昨季は本塁打、打点の2冠を獲得している。
阪神タイガース
2014年のドラフトで1位指名された左腕・
横山雄哉はすでに引退。2位・
石崎剛は19年シーズン中に
ロッテへトレードとなった。3位・
江越大賀は身体能力が非常に高いが、現在は守備・代走専門で通算310試合に出場。4位・
守屋功輝は現在二軍で投げている。その中で一番の出世頭は、5位・植田海だろうか。通算出場は江越より少ない300試合。しかも守備・走塁のスペシャリストという点は江越と一緒だが、植田の場合は代走で登場すると盗塁をかなりの確率で成功させる。通算は46盗塁。今季も5回試みすべて成功している。この年のドラフトで年唯一の高卒ルーキーが、チームに欠かせない存在となっている。
東京ヤクルトスワローズ
「2014年ドラフト指名組」の選手で、今も現役なのは2位の風張蓮だけだ。ただ、その風張も昨季限りで戦力外となりチームを去った。風張は昨年12月のトライアウト受験を経てDeNA入りが決定。しかし、今季はわずか3試合にしか登板していない。この年はドラフト1位の
竹下真吾をはじめ、4位の
寺田哲也、5位の
中元勇作、6位の
土肥寛昌と投手を5人指名した。3位では捕手の
山川晃司を指名し、当時から課題だったバッテリー強化を図ったが、効果は薄かった。7位では外野手の
原泉が指名されていた。
中日ドラゴンズ
2014年のドラフト1位は社会人の
野村亮介(三菱日立パワーシステムズ)、2位は大学生の
浜田智博(九産大)。即戦力として期待された2人の投手だったが、どちらもプロでは1勝も挙げることができず、ユニフォームを脱いだ。現在、一軍で活躍している選手は少なく、6位の井領雅貴のみ。その井領もまたレギュラーには至らず、外野の控えというポジションだ。粘り強い打撃を武器に右投手の代打としての出番が多い。7位の
遠藤一星は昨年までは一軍に定着していたが、今年の前半戦は二軍生活が続いた。この年はドラフトで9人、育成で3人の計12人が入団しているが、現時点では“出世頭”というほど結果を残している選手はいないと言っていいかもしれない。
横浜DeNAベイスターズ

DeNA・山崎康晃
山崎康晃がドラフト1位指名の名に恥じない活躍ぶりで、球団の看板選手となっている。現在はセットアッパーを担うが、ルーキーイヤーからクローザーを務め2018年、19年と2年連続でセーブ王に輝いた。「9回のマウンド」にかける本人の思いは強く、守護神復活の可能性は十分にある。「2014年ドラフト指名組」は山崎を筆頭に左腕・
石田健大(2位)、強打の内野手・
山下幸輝(5位)とレベルの高い大学生がそろって入団。社会人からは、安定した内野守備が高く評価された
倉本寿彦(3位)も入団している。
広島東洋カープ

広島・野間峻祥
この年は1位から野間峻祥、
薮田和樹、
塹江敦哉、
藤井皓哉、
桑原樹、
飯田哲矢、
多田大輔と、育成ドラフトで
松浦耕大、
木村聡司が入団したが、今も現役なのは野間、薮田、塹江、桑原とすでに4人だけ。飯田哲矢は現在はスコアラーだ。出世頭は、単年の成績では2017年に15勝3敗でエース格となり、勝率第1位にも輝いた薮田だ。ただ、この年以外はファーム生活も少なくなく、通算成績では、プロ入りからほとんどを一軍で過ごし、今季前半までに通算299安打の野間が出世頭になるか。高卒で入った塹江は現在はファーム落ちしているが、一時は勝ちパターン継投入り。年齢的には大卒組の野間、薮田より時間があるだけに、今後の頑張り次第だ。
写真=BBM