来週13日からペナントレースが再開される。すでに折り返し地点は過ぎているが、優勝、クライマックスシリーズ進出に向けて、1試合の重要度が増してくるのは間違いない。シビアな戦いが続く後半戦だが、若い力が能力を発揮してくれればチームにとって大きな推進力となる。果たして、チームに勢いを与える若手はいるのか。セ・リーグ6球団の後半戦イチオシの若手選手を取り上げる。 読売ジャイアンツ
2019年入団の投手が粒ぞろいでワクワクさせてくれる。チームの勝ち頭で、セ・リーグのハーラーダービートップを走る
高橋優貴が9勝、これに続く8勝の
戸郷翔征もこの年の6位入団だ。これに続くことが期待されているのが3位の
直江大輔、そして4位の横川凱。戸郷、直江、横川は高卒(高橋は大卒)で、中でも横川に注目したい。一軍では前半戦2試合の先発で0勝1敗と結果を残せていないが、8月5日時点で二軍では17試合で6勝2敗とチームの勝ち頭だ。身長190センチの大型左腕。一軍先発ローテーションをめぐるライバルは多いものの、期待も大きい。
阪神タイガース
ドラフト時、
佐々木朗希(
ロッテ)らとともに“高校BIG4”の一人だった及川雅貴。2020年ドラフト3位で阪神に入団したが、同学年の1位・
西純矢とともに5月19日に一軍昇格を果たす。一軍デビューは西純のほうが先で、しかも先発。及川は28日の
西武戦(メットライフ)に中継ぎで登板、30日の同カードで中継ぎで初勝利を挙げた。そこから好投が続き、前半戦終了時で15試合に投げ防御率1.56をマーク。エキシビションマッチでは先発を経験も、矢野耀大監督は勝ちパターンで弱点となっている6、7回を任せる可能性は高い。ストレート、変化球とも勢いがあり、キレも抜群なだけに、優勝へ向けてのキーマンになる可能性は高い。
東京ヤクルトスワローズ
いまだ一軍登板のない、ドライチルーキーの木澤尚文に期待したい。ファームでは8月5日現在、15試合に登板して0勝5敗、防御率5.70と数字は残せていないが、エキシビションマッチでは2試合に登板。いずれも150キロを超えるストレートを中心に、ほとんどのアウトを三振で奪った。まだ粗削りながら、球威で押していけるだけのボールがあり、しっかりと課題と向き合えるだけの地頭の良さもある。東京六大学リーグでしのぎを削り合った
早川隆久(
楽天)らがすでに一軍デビューを果たして活躍しているだけに、悔しさもあるはずだ。後半戦のデビューと躍動が待たれる。
中日ドラゴンズ
8月4日に行われたロッテとのエキシビションマッチで森博人が存在感を見せつけた。3対0とリードの6回に二番手として登板し、2回を1安打無失点。目を引いたのはロッテの強打者、
荻野貴司、
レアードらから奪った4奪三振だ。真っすぐは最速149キロをマークし、カットボール、スライダーなど変化球もキレ味抜群と文句のない投球内容。日体大から今季のドラフト2位で中日に入団。即戦力として期待されたものの、春季キャンプから前半戦まで二軍で過ごした。二軍での成績は8月5日現在、18試合に登板して2勝1敗、防御率2.29。フレッシュ球宴にも出場した。先発か中継ぎか、どちらにしろ後半戦の一軍デビューは間違いなさそうだ。
広島東洋カープ
広島では、前半戦の終わりから先発に入ってきた大卒ルーキーの
大道温貴と高卒2年目の玉村昇悟に期待がかかる。
大瀬良大地、
九里亜蓮、
森下暢仁の先発3本柱に次ぐ先発4番手、5番手の位置づけで後半戦をスタートすることになるだけに、広島が後半戦どれだけ浮上していけるかにも、この2人の出来は大いに関係してくる。東京五輪での休止期間中の紅白戦で投げ合ったときには大道に軍配が上がったが、そこでは打たれた玉村も次のエキシビションマッチでは6回1失点と修正。これには「左右の打者に真っすぐで内を突けていた」と
佐々岡真司監督も合格点だ。逆に大道はエキシビションマッチでは5回4失点と一進一退だが、2人とも期待感は十分だ。
横浜DeNAベイスターズ
7月10日、内野手の
柴田竜拓が負傷により登録を抹消されると、2年目の森敬斗が今季一軍初昇格を果たした。翌11日の中日戦(バンテリン)で二番・遊撃でスタメン出場。1点ビハインドの9回二死から竜の守護神・
R.マルティネスから右前打を放った直後にプロ初盗塁となる二盗を決めると、三番・
佐野恵太の右前打で、持ち前のスピードを生かして同点のホームを踏んだ。今季、一軍出場は6試合ながら打撃は力強さを増すばかり。さらに強肩&軽快なフットワークが光る遊撃の守備や、
三浦大輔監督が「チームで一番」と評する躍動感あふれる走塁がチームの起爆剤となりそうだ。
写真=BBM