後半戦は金メダリスト4人の力で

好投した森下。写真=Getty Images
東京オリンピックが終わった。
賛否両論があったし、今後の経済的なダメージが心配ではあるけれど、新型コロナ禍で家に閉じこめられている子どもたちに、スポーツの素晴らしさを伝える意義はあったと思う。
野球も8月7日、横浜スタジアムの決勝でアメリカを2対0で破り、公式競技としては初の金メダル獲得となった。
今回は6チームしか出場せず、WBCのようにメジャーの選手が出ているわけでもない。「勝って当たり前」の声もあったが、野球は番狂わせの多いスポーツでもある。選手は重圧がかかっただろうし、そこでしっかり結果を出すのは簡単じゃない。よくやったなと思う。
アメリカ戦に関しては、一番の功労者はカープの2人の投手ではないか。
1人目は中6日で投げた先発の
森下暢仁。立ち上がりを完璧に抑え、そのまま勢いに乗って勝利投手になった。真っすぐもキレがあったし、あの緩いカーブは効いていた。
以前も書いたが、外国人のパワーヒッターは詰まってもヒットゾーンに運ぶ力があり、常時150キロ台の真っすぐあれば別だが、芯を外す変化球だけでは、ちょっとつらい。
特に相手の情報が少ない戦いでは、緩いカーブやチェンジアップなど、相手のタイミングを外し、体勢を崩す球を交えたほうが有効だ。
まさに森下なのだが、そうは言っても一発のある打者に緩い変化球は怖いはずだ。
甲斐拓也への信頼もあるのかもしれないが、これだけの大一番であれだけ涼しい顔で投げ切るんだからすごい。優しい顔しているけど、心臓はかなり強いんだろうね。
そして、何と言っても抑えの新人・
栗林良吏だ。角度のある150キロ前後の真っすぐと2種類のフォーク、そしてカーブもある。パワーピッチャーあり、緩急も使える万能型だね。
ペナントレースでは夏場になってへばってきたと思ったが、大会期間中に勢いが戻った。ただ、この5連投で間違いなく疲れはたまっていると思う。後半戦は故障に気をつけてほしい。
広島勢は打線でも2人がスタメン出場した。四番の
鈴木誠也がようやく目を覚まし、右方向への技ありのヒットを打っていたし、七番に入った
菊池涼介も相変わらずの守備のうまさを見せている。
先発のエース格、抑え、四番、守備のキーマンで4人の金メダリストか。こうなると広島がなぜ弱いのか不思議になってくるが、それはそれとして。
これからの後半戦、4人が、このオリンピックでのあきらめない戦いをチームに戻っても体現し、伝えていってほしい。
それこそカープの選手に金メダルをかじってもらってさ。