打線でのポイントは一番・野間

前半戦の最後で一番に入った野間が、打線のカギを握る一人だ
東京五輪の野球も日本代表の金メダルでめでたく終了。プロ野球のペナントレースも8月13日から再開される。5月後半に新型コロナ禍にチームが襲われたこともあり、前半戦は30勝42敗10分けの借金12で5位に沈んだ
広島も、このまま終わるわけにはいかないだろう。状況的にCS(クライマックスシリーズ)出場もかなり厳しい感じではあるが、まずは目の前の借金を一つずつ返していくしかない。ここでは後半戦、広島がどのような戦力構成で巻き返しを目指していくかを展望してみたい。
前半戦は、結果的に5位に沈んだ広島だが、実は前半戦の最後は4連勝と、手応えのある形で締めくくっている。後半戦のスタートも、まずはこのときの形がベースになるだろう。野手のラインアップは、一番にセンター・
野間峻祥、二番にレフト・
西川龍馬、三番にショート・
小園海斗、四番にライト・
鈴木誠也、五番にファースト・
坂倉将吾、六番にサード・
林晃汰、七番にセカンド・
菊池涼介、八番にキャッチャー・
石原貴規が基本となっている。
まずこの中でポイントになるのは、一番の野間だろう。野間が一番に入るとともに、チームは4連勝した。前半戦は主に菊池涼が一番を務めていたが、菊池涼は長く二番を務めていたことでも分かるとおり、走者を置いて打席に立つシチュエーションにしたほうが相手にとって嫌な打者。もしもほかに一番を打てる適任者(それなりの出塁率と足の速さを持つ選手)がいれば、その選手を一番に置く形にしたほうが打線全体の流れはよくなるはずだ。もしも野間が後半戦も高出塁率を維持して一番を打ち続けられれば、打線は理想形に近づくがどうなるか。エキシビションマッチでは26打数13安打の打率.500と好調を維持、後半戦にも期待がかかる。
攻撃陣で次にポイントとなるのが、6月頃からスタメンに定着して3割超の打率をマークし、前半戦の攻撃陣を支えた小園、林の高卒3年目コンビが、後半戦も息切れせずに打ち続けられるかどうかだ。林はエキシビションマッチで8月8日まで25打数1安打と調子を落としており、9日の
ソフトバンク戦(マツダ広島)でようやく一発を含む3打数2安打、翌日の同カードでも3打数2安打と持ち直したが、やや心配が残る。
このほか、上記のメンバーから入れ替わりがあるとすれば、6月半ばからファーム落ちしていた
クロンの起用だ。ファームでコンパクトなフォームへの変更を試みたとのことだが結果が出せるか。もしもクロンがレギュラーに復帰できるぐらいの打力を示せれば、坂倉を本職の捕手に戻すことができ、こと攻撃に関しては最強の布陣になるが……。また、上記のメンバーは全体的にはやや左打者に偏っているので、外野に
中村奨成、
長野久義らの右打者が入る可能性もあるが、その場合は野間か西川が外れることになるので、その場合は上位打線は組み直し、という感じになる。
先発6番手の不在はどうなる!?
投手陣は、先発は
大瀬良大地、
九里亜蓮、
森下暢仁の三本柱に、前半戦の終わりから
大道温貴、
玉村昇悟の若手が加わり、5枚まではある程度計算が立つ形になった。大道、玉村は長いシーズンを投げ切った経験がない、という点はあるが、残りの試合数はそう多いわけではないだけに、何とか最後まで先発ローテーションを守り切ってもらいたいところ。ただ、現在、
佐々岡真司監督の頭を悩ませているであろうと思われるのは、6番手の不在だ。候補の第1グループだった
矢崎拓也、スコット、
高橋昂也がエキシビションマッチでいずれも打たれ、そのあとのファームのゲームでのテストでも、
床田寛樹、
中村祐太、再テストの矢崎拓也、さらには
薮田和樹が次々と崩れてしまい、いまだ先発6番手は未定。あとの候補はベテランの
野村祐輔ぐらいだが、さてどうなるか。
救援陣は、前半戦はセットアップに不安を残したが、
コルニエルが場数を踏んである程度計算が立ってきたのと、
フランスア、
バードの両外国人左腕がいて、前半戦は不振だったが昨年実績を残した
ケムナ誠が復調気配、同じく
塹江敦哉もファームで復活気配を見せてきたので、ここにルーキーの
森浦大輔を加えた中から、好調な投手を起用していけば形は作れると見る。東京五輪でもフル回転して開幕から休みなく投げている抑えの
栗林良吏の疲労度をうまくコントロールしながら後半戦を戦えるかもカギになるだろう。
文=藤本泰祐 写真=BBM