群を抜いている佐藤輝の三振割合

新人ワースト記録の122三振を喫した佐藤輝。現在は二軍落ちしている
前半戦話題となったのがルーキーで本塁打を量産した
阪神・
佐藤輝明だが、8月13日の
広島戦(京セラドーム)では新人のワースト記録でもある122三振を喫した。9月13日現在、151三振で記録を更新中だが、打撃不振でファーム落ちを余儀なくされた。一方、規定打席到達者でもっとも三振が少ないのはパ・リーグで2年連続首位打者を狙う
オリックスの
吉田正尚で26。吉田正も現在は左足を痛め登録は抹消されている。
今回は三振にスポットを当てるが、佐藤輝は399打席で151三振だから2.64打席に1度三振をしていることになる。これも規定打席到達者ではワーストの数字だが、両リーグを合わせてのワースト10は以下の通り。
選 手 打席 三振 打席/三振
1位 佐藤輝明(神) 399 151 2.64
2位
甲斐拓也(ソ) 383 121 3.17
3位
塩見泰隆(ヤ) 378 109 3.47
4位
ネフタリ・ソト(デ)359 94 3.82
5位
オースティン(デ) 366 94 3.89
6位
マーティン(ロ) 422 104 4.06
7位
中村剛也(西) 363 86 4.22
8位
茂木栄五郎(楽) 354 83 4.27
9位
辰己涼介(楽) 383 88 4.35
10位
梅野隆太郎(神) 387 88 4.40
佐藤輝の2.64は群を抜いている。2位はちょっと意外だが、
ソフトバンクの甲斐拓也だ。昨年は360打席で80三振で4.50、通算でも4.18だから、今季はちょっと三振が多い。121三振はリーグトップの記録となっている。3位の塩見は今季レギュラーを獲得して初めて規定打席に到達しそうな選手で、打率も.282とリードオフマンとしての役割を十分に果たしているが、三振はリーグ2番目の109。ただチームの大先輩の
青木宣親もレギュラー1年目の2005年は首位打者を獲ったものの、113三振を喫していた。1三振あたりの打席数は5.74と塩見よりは良かったが、今季の青木は11.42と三振が少ない打者に進化している。
ホームランバッターには三振がつきものだが、
DeNAのオースティンは3.89で5位。しかし打率.329で首位打者争いのトップに立っている。来日が遅れ試合数がやや少ないもののリーグ5位の25本塁打も放っていて、まさに理想的な「助っ人」像だ。
ブライアントがワースト3を独占
では過去に三振が多かった打者はどんな顔ぶれだったのか。シーズンの三振数のワースト10+打席/三振の10位は、
選 手 年度 打席 三振 打席/三振(順)
1位 ブライアント(近) 1993 550 204 2.70(2位)
2位 ブライアント(近) 1990 461 198 2.33(1位)
3位 ブライアント(近) 1989 468 187 3.04(7位)
4位
村上宗隆(ヤ) 2019 593 184 3.22(9位)
5位 ブライアント(近) 1992 501 176 2.85(3位)
6位
岩村明憲(ヤ) 2004 611 173 3.53(21位)
7位 中村剛也(西) 2015 599 172 3.48(19位)
8位
エルドレッド(広) 2014 505 169 2.99(6位)
9位
マウロ・ゴメス(神) 2014 616 166 3.71(40位)
10位
デストラーデ(西) 1990 552 165 3.35(14位)
19位
エルネスト・メヒア(西) 2014 450 156 2.88(4位)
20位
スコット・シェルドン(オ)2002 500 155 3.23(10位)
22位 ブライアント(近) 1994 481 153 3.14(8位)
29位 スパンジェン(西) 2020 445 150 2.97(5位)
※スパンジェン=
スパンジェンバーグ となるが、1980年代終盤から活躍した大砲、近鉄のブライアントが三振数、打席の割合でもワースト3を独占。だが、佐藤輝の打席の割合2.64は2位に食い込む記録だ。
2000年以降でトップなのは……

現在ケガで二軍落ちしている吉田正は規定打席以上で今季、打席に対する三振の割合が最も少ない打者だ
一方、今季打席に対する割合が少ないベスト10(規定打席以上)は、
選 手 打席 三振 打席/三振
1位 吉田正尚(オ) 437 26 16.81
2位
近本光司(神) 481 36 13.36
3位
鈴木大地(楽) 491 41 11.98
4位 青木宣親(ヤ) 354 31 11.42
5位
大島洋平(中) 468 43 10.88
6位
宮崎敏郎(デ) 445 41 10.85
7位
宗佑磨(オ) 406 44 9.23
8位
佐野恵太(デ) 476 53 8.981
9位
中村晃(ソ) 449 50 8.980
10位
荻野貴司(ロ) 493 55 8.96
となる。
6人が10打席以上で、吉田正は16.81と唯一15打席を超えている。昨年も492打席で29三振で16.97と16~17打席に1度しか三振をしないという優れた選手だ。
過去もっとも三振しなかったのは、1938年春のイーグルスの
杉田屋守で122打席で1三振というのがあるが、プロ野球3年目の戦前の話。2リーグになってからは1951年の
巨人・
川上哲治が424打席で6三振(打席の割合は70.67)と大映・
酒沢政夫の387打席で6三振(64.50)があるが現在のように変化球が多彩な時代ではなかった。それを考えると、1978年の
ロッテ・
得津高宏の420打席で7三振(60.00)というのはかなり貴重な記録とも言える。得津はこの年、176打席連続無三振もマークしている。
2000年以降での打席の割合がトップなのは、2002年の
高木浩之で17.15(446打席、26三振)。これに次ぐのは昨年の吉田正、3位は2010年の
ヤクルト・
宮本慎也で16.68(517打席、31三振)。2000年代で15打席を上回っているのは昨年まで10人しかいない。
1997年に216打席連続無三振の日本記録を樹立したオリックスの
イチローはこの年の16.86(607打席、36三振)がNPBでの自己最高。翌年も15.94(558打席、35三振)と15打席を超えたが、もし吉田正が今季も15打席を超えれば、チームの大先輩と同じ2年連続ということになる。
文=永山智浩 写真=BBM