今季も残り試合が少なくなってきているが、ここまで1試合も休んでいないタフな選手はいるのだろうか。パ・リーグ6球団で今季、全試合出場を続ける男たちを取り上げる。 記録は9月27日現在 千葉ロッテマリーンズ
チーム、そして打線をけん引する2人が元気なのが、チームの好調ぶりを象徴する。1人は開幕から全試合で一番に座る荻野貴司。入団以来、ケガに泣かされてきた男も今季はフル稼働。4本の先頭打者本塁打を放ち、入団から12年連続となる2ケタ盗塁(20盗塁)も達成。バットと足で好機を演出している。もう1人が中村奨吾だ。今季から主将に就任した背番号8は開幕3戦目から三番に固定。現在はやや調子を落としているが、打率.290と3割も射程圏内にとらえる奮闘ぶり。リードオフマンと主将が、休むことなく打線を鼓舞し、リーグトップの517得点をたたき出している。
福岡ソフトバンクホークス
全試合出場選手は
柳田悠岐、栗原陵矢、
甲斐拓也の3人。いずれも試合に出続けることは“最低条件”と考えている主力とあって、負けられない試合が続く今後に向けて、一層気を引き締める。特に栗原は実質2年目のシーズンとなるが、昨年を超える成長を見せ、いまやチームに欠かせない存在に。試合に出続ける中で四番を任されるなど責任感やプレッシャーで心身ともに疲労がないわけはないが、試合のなかった9月21日の全体練習では最初から最後まで、休む間もなく練習に励んでいた。まだ25歳と若く、今後がますます楽しみだ。また、甲斐も正捕手として、今季スタメンマスクを譲ったのは3試合のみ。主砲・柳田とともに扇の要がドシンと構えてくれているのは、頼もしいことこの上ない。
東北楽天ゴールデンイーグルス
移籍2年目の今季も、昨季に続き2年連続の全試合出場が濃厚だ。今季は開幕当初こそ六番だったが、4月下旬に昨季と同じ二番に戻ると、ほぼ、この打順で出場を続けている。ここまでの535打席、131安打、62得点はいずれもチームトップの数字。今季は主に一塁を守っているが、本来は三塁手であり、複数ポジションを守れるユーティリティー性はチームにとっても大きな武器となる。勝利への執着心は人一倍で、試合中はベンチでも守備位置でも、ナインを鼓舞する声が響く。チームに欠かせぬ存在だ。
オリックス・バファローズ
唯一、全試合出場を続けていた
吉田正尚が9月3日のソフトバンク戦(PayPayドーム)で負傷し、翌4日は代打で出場も5日に登録抹消。フル出場選手はゼロに。そんな中で最多出場が118試合の宗佑磨だ。キャリアハイの74試合を大きく更新している7年目の今季は、内野(三塁)に再転向。軽快なフットワークで広い守備範囲を誇り、巧みなグラブさばきと安定したスローイングで身体能力の高さを示し、打っては逆方向へも鋭い打球を放つなど、二番・三塁の定位置を自らのものに。近年、不在だった正三塁手が埋まったことが、今季のチーム躍進の一因でもある。
埼玉西武ライオンズ
今季、西武で全試合出場を続けている選手はいない。121試合消化時点で100試合を超えているのは
源田壮亮、
中村剛也、
森友哉、呉念庭の4人。それぞれ101試合、107試合、109試合、110試合となり、チーム最多出場は呉になる。今季は開幕二軍スタートだった呉だったが、3月31日に
山川穂高と
栗山巧が故障で出場選手登録を外れ、代わりに1軍に昇格。同日の
日本ハム戦(札幌ドーム)でスタメン出場すると、6年目でプロ初本塁打をマーク。以後、勝負強い打撃と内外野を守れるユーティリティー性を武器に出場を重ねた。シーズン最後まで献身的なプレーを続ける。
北海道日本ハムファイターズ
全試合出場選手がいない中、チーム最多出場選手といえば116試合消化時点で109試合に出場している石井一成だ。スタメン出場は遊撃で90試合、三塁で1試合。昨年まで遊撃のレギュラー争いをしていた
中島卓也の不調、
平沼翔太の西武移籍により、正遊撃手の座をつかんだ形だ。ルーキーイヤーの2017年に114試合に出場したのがキャリアハイ。その後は出場機会も減っていたが、5年目での最多出場も目前に迫っている。パンチ力のある打撃を持ち味とし、
栗山英樹監督がチームの課題に挙げる「長打の打てる内野手」ではあるが、打率.221、3本塁打、17打点の数字は物足りなさも。守備力が重要視される遊撃手としても、守備面での信頼を積み上げていきたい。
写真=BBM