20安打の猛反撃、最後の最後に逆転

両軍40安打の乱打戦。最後は波留(中央、背番号2)のサヨナラ打で横浜が13対12で勝利した
2021年、
DeNAは開幕から弱かった。近年はペナントレース1位こそないもののAクラスも多く、CSを突破して日本シリーズに進出するなど健闘していたから、新しいファンにとっては不甲斐なく見えるかもしれない。ただ、チームが大洋だった時期からのファンには見慣れた光景どころか、むしろ落ち着く(?)、という向きさえいるのではないか。
大洋は1960年に初のリーグ優勝、日本一も、その後は歓喜から遠ざかったまま78年に本拠地を川崎から横浜へ、93年にはチーム名の大洋とも愛称のホエールズとも決別して、横浜ベイスターズとして新たな道を歩み始める。2度目のリーグ優勝、日本一は5年後、98年のことだった。このときの“名物”は、リードした試合の最終回に登場して敵チームを完璧に沈黙させるクローザーの
佐々木主浩と、この“大魔神”を降臨に導く“マシンガン打線”だ。特に後者の畳みかけるように打ちまくる猛打は痛快だったが、打ち始めるまでが静かなのも持ち味(?)だった。
7月15日の
巨人戦(横浜)では、“マシンガン打線”は初回から沈黙を続け、一方で3回表までに7点を奪われる絶望的な展開に。だが、その裏に1点を返すと、4回裏には単打だけで7連打と完全に目を覚まして一挙5点と猛追する。そこから試合は投手戦となるも、8回表に巨人が2点を追加すると、その裏に横浜は3点を返して同点。9回表に巨人が3点を加えて突き放すも、その裏には横浜は4点を奪って逆転サヨナラ勝ち。最後は“バントをしない二番打者”
波留敏夫のサヨナラ打で決めた。最終的に横浜13点、巨人12点で、両チーム20安打ずつの計40安打の乱打戦。この試合を「もののけにとりつかれたようなゲームでした」と表現したのが横浜の
権藤博監督だった。
このシーズンから背番号18となり、12勝を挙げて歓喜に貢献したのが現在の監督、
三浦大輔だ。序盤の低迷が嘘のように、交流戦で勝ちまくったDeNA。その不安定さに、どこか懐かしさを覚えたファンは少なくなかったのではないか。DeNAがもののけのように“化ける”日も、そう遠くないのかもしれない。
文=犬企画マンホール 写真=BBM