優勝したヤクルトも若手中心

巨人は坂本らがメーンで20歳前半のスタメン割合が少なかった
今季の各チームのスタメン打者の平均年齢(年齢は満年齢で計算)は、
ヤクルト 28.6歳=5位
阪神 28.1歳=4位
巨人 30.1歳=10位
広島 26.8歳=2位
中日 30.3歳=12位
DeNA 28.7歳=7位
オリックス 27.7歳=3位
ロッテ 29.6歳=9位
楽天 28.7歳=6位
ソフトバンク 30.2歳=11位
日本ハム 26.5歳=1位
西武 29.1歳=8位
となる。
平均でもっとも若いのは、日本ハムの26.5歳で続くのが広島の26.8歳。一方、平均30歳を超えているのは巨人、ソフトバンク、中日の3チームで、30.3歳の中日が最年長ということになる。
そこでリーグごとに、スタメン選手の年齢別の割合を見てみよう。まずはセ・リーグ。
ヤ 神 巨 広 中 デ
10歳代 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 1.4% 2.0%
20歳前半 22.6% 11.6% 2.5% 37.5% 7.9% 15.0%
20歳後半 49.5% 50.3% 47.3% 33.0% 30.9% 35.0%
30歳前半 16.0% 36.8% 40.5% 24.5% 43.8% 48.0%
30歳後半 11.9% 0.0% 9.7% 5.0% 12.2% 0.0%
40歳代 0.0% 1.3% 0.0% 0.0% 3.8% 0.0%
優勝したヤクルトは、20歳前半が22.6%とリーグでは2番目に多い。その中で中心となっているのが、21歳で全試合に四番に座り、リーグMVPにも輝いた
村上宗隆だ。村上の次に多かったのは23歳のルーキー・
元山飛優で61試合。20歳前半は7人が出場している。
山田哲人が29歳、
塩見泰隆が28歳と上位を打つ主力は20歳後半とちょうど脂が乗りきっている世代だ。
2位の阪神もルーキーの
佐藤輝明が111試合にスタメン出場を果たし20歳前半は11.6%。ただ佐藤輝のほかのスタメンは
小野寺暖、
小幡竜平の2人しかいなかった。こちらは20歳後半が50.3%でリーグトップ。29歳の
糸原健斗、27歳の
近本光司、
大山悠輔、25歳の
中野拓夢と4人が規定打席に到達した。
巨人は20歳後半が47.3%で30歳前半が40.5%と、ほとんどがこの年齢でスタメンが構成されていた。主砲の
岡本和真は25歳、今年初の規定打席に到達した
松原聖弥が26歳。他に規定打席到達者は33歳の
坂本勇人、32歳の
丸佳浩のベテラン2人。一方、20歳前半は3人しかスタメン出場はおらず、もっとも起用されたのはヤクルトから移籍した
廣岡大志の26試合だった。過去5年、FAで野手を4人獲得。どうしてもスタメン年齢が高くなってしまうのは否めない。

打率リーグ2位の坂倉ら広島は20歳前半が活躍した
巨人とは対照的なのが広島。育成には定評があるが、今季の20歳前半のスタメンは37.5%とリーグでも図抜けていて、チーム内でも一番に占めている年齢。23歳の
坂倉将吾が打率2位の好成績を残し、3年目の21歳・
小園海斗も初の規定打席に到達し、3割に迫る打率.298をマーク。その他、
林晃汰も100試合にスタメン出場。来年以降の中心選手のビジョンが描けている。
中日は19歳の
岡林勇希が15試合、
土田龍空が1試合と10歳代でのスタメンはいたものの、中心選手の高齢化は続いている。24歳以下で最多のスタメン出場は
根尾昂の49試合。一方、100試合以上にスタメン出場した5人のうち、一番若いのは27歳の
京田陽太と
高橋周平の2人。30歳以上のスタメンが59.8%と12球団でもっとも多い。
DeNAは23歳のルーキー・
牧秀悟の活躍はあり、20歳前半はリーグ3位の15.0%だったが、30歳前半も48.0%と多かった。これは
オースティン、ソトの両外国人がいるので仕方がないが、両者がいなかった開幕直後は勝ち星から見放されていた。
セ・リーグは20歳後半が40%以上だった3球団が奇しくもAクラスという結果となった。
パのほうが先発陣に余裕があった!?

19歳の紅林が正遊撃手となり、10歳代のスタメン割合が大きかったオリックス
続いてパ・リーグ。
オ ロ 楽 ソ 日 西
10歳代 11.7% 0.0% 0.0% 0.0% 0.5% 0.0%
20歳前半 4.3% 21.0% 6.7% 11.8% 17.7% 14.7%
20歳後半 40.4% 32.0% 44.1% 34.3% 69.7% 48.7%
30歳前半 40.9% 34.4% 49.3% 31.4% 11.8% 18.9%
30歳後半 2.7% 11.5% 0.0% 22.1% 0.0% 17.8%
40歳代 0.0% 1.0% 0.0% 0.5% 0.3% 0.0%
19歳の
紅林弘太郎が129試合、
来田涼斗も20試合にスタメン出場。20歳の
太田椋も42試合と若手の台頭が目立ったオリックス。10歳代の11.7%は12球団トップ。ただ20歳前半は4.3%でリーグ最低。チームとしては40.9%の30歳前半がトップ。これは30歳の本塁打王・
杉本裕太郎が現れたことが大きい。
20歳前半が21.0%でリーグ1だったのがロッテ。
安田尚憲96、
藤原恭大62、
山口航輝56、
佐藤都志也35と未完成ながらスタメンで起用される選手が多かった。しかし
マーティン、
レアードがともに33、34歳、一番で全試合に出場した
荻野貴司は36歳と高齢化も進んでいる。
若手も少ないが大ベテランもいないのが楽天。30歳前半が49.3%と約半分を占める。スタメン出場も
鈴木大地143、
島内宏明141、
浅村栄斗138、
岡島豪郎119と上位4人が30歳前半。20歳前半での最多は
オコエ瑠偉と
渡邊佳明の28試合。そろそろ若手の台頭が望まれるチームだ。

今季も松田が115試合に出場。30歳以上のスタメン割合が50%を超えたソフトバンク
日本シリーズ5連覇を目指したソフトバンクは育成選手出身の活躍が目立つチームではあるが、このところその勢いがない。30歳以上のスタメン出場が53.9%とリーグでは唯一50%を超えている。この世代で規定打席に到達したのは33歳の
柳田悠岐、32歳の
中村晃。100試合以上が38歳の
松田宣浩、30歳の
今宮健太。チームには欠かせない選手だが、この4人を脅かす存在もまだ現れていない。
広島同様、育成には定評のあった日本ハム。20歳後半が約7割のスタメン出場をしていた。30歳以上は12球団で最も少ない12.1%。もともとあまりベテランを在籍させないチームでもあり、31歳の
大田泰示、29歳の
西川遥輝の2人はオフにチームを離れた。今季は21歳の
野村佑希の成長があったが、若手の成長がチーム力に直結する。
42年ぶりに最下位になった西武は、20歳後半が48.7%とバランスはいいが、30歳以上も36.6%と若干高年齢寄りだ。それでも20歳前半は10人スタメン出場を果たしており、この中から一人前に成長する野手が現れるかがポイントとなる。
パ・リーグはセ・リーグとは違い、30歳前半の割合の上位チームがAクラスを占めた。
年齢がチームの強弱を決めるわけではないし、ピークの年齢も選手には個人差があるが、20歳後半にピークを迎える選手が数多くいるのも確か。長期で強いチームを作り上げるためには、年齢構成も重要なファクターではある。
文=永山智浩 写真=BBM