「勝つための役割を全うしたい」

東大は1月8日に新年始動。練習前には根津神社で必勝祈願した[左は井手監督、右は松岡主将]
東大の捕手で主将・
松岡泰希(4年・東京都市大付高)は毎年正月、高幡不動尊で手を合わせる。コロナ禍により2年ぶりの初詣。おみくじは大吉が出た。「初めてです。中学、高校とずっと凶だったので……」と苦笑いを浮かべながらも、2022年は幸先の良いスタートを切った。
遠投110メートル、二塁送球1.85秒。
井手峻監督(元
中日)が「見たことがない。(相手が仕掛けると分かっていて)アウトコースを要求すればすべて、盗塁を阻止できる」と絶賛する強肩の持ち主である。
松岡は大学卒業後の「野球継続」を志望する。プロへの思いは言葉を選んでこう語る。
「行けたらいいとは思いますが、そこまで意識はしていない。まずは、勝てれば。目の前が楽しければいい。勝つための役割を全うしたい」。主将は1998年春から続く「最下位脱出」を目標に掲げ、「連勝が必要になってくる」と意気込む。正捕手に定着した21年は春1勝、秋1勝と成果を収め、22年のチームスローガンは「強い東大を目指していく中で『躍進』です」。練習始動日となった1月8日、必勝祈願後はチームメートとともに、ブルーシートにこの二文字を力強くペンキで書いた。
井手監督は、松岡の打順について「そこまで負担はかけたくない」と語るが、クリーンアップとして、右打席のバットでも期待がかかる。自身初の打率3割が目標。抜群の記憶力が武器で、相手投手のデータはすべて頭に入っており、リードに際しても分析力に長ける。
東大は現役合格。教育学部に在籍し、単位は3年間でほぼ取得しており、卒業論文も「何とかなる」と、学生ラストイヤーのこの1年は「野球に集中できる」と目を輝かせる。
東大からは井手監督を含め、過去に6人のプロ野球選手を輩出しているが、捕手は不在。司令塔として、目の前の勝利にこだわる中で、進路の可能性も広がっていくはずだ。
文=岡本朋祐 写真=BBM