レギュラー、打順も含め白紙の状態でスタート

オープン戦で結果を残した中田。今季は完全復活となるか
オープン戦は4勝11敗2分けに終わり、12球団最下位タイで終えた
巨人。だが、2020年もオープン戦最下位でありながらレギュラーシーズンではリーグ2連覇を果たしたように、この時期の結果が戦力値を表すとは言い難い。監督通算16年目を迎えた
原辰徳監督のもと、今季も巨人は優勝候補に食い込む戦いを見せるだろう。
指揮官が今季を前に打ち出したのが、若手積極起用の方針だった。
「五分五分の力ならば、実績の少ない若い選手を使おうと思います。今年のジャイアンツはローテーション投手、レギュラー、打順も含め、白紙の状態でスタートします」
春季キャンプでは、ともにトミー・ジョン手術を経た3年目のドラフト1位・
堀田賢慎や2年目の
山崎伊織、野手では
秋広優人、
中山礼都の19歳コンビら多くの若手が名を連ね、チャンスを与えられた。「五分なら――」のハードルに挑んだ若手だったが、投手と野手で結果が分かれた。
桑田真澄投手チーフコーチが見極めた投手陣は顔ぶれが一新されそうだ。山崎伊、堀田、ドラフト3位・
赤星優志が開幕ローテ入り。新外国人、
マット・アンドリースと
マット・シューメーカーも開幕後に加わる見込みとなっている。桑田コーチは「今年は(先発ローテ)6人が固定できるというシーズンではない。いろいろ考えながら、調子がいい人が投げていく」と予告しており、例年以上に起用は流動的となるだろう。救援陣ではドラフト1位・
大勢がオープン戦7試合の登板で防御率1.29とインパクトを残し、新人では異例の守護神に抜擢されることが決まった。
一方、野手ではオープン戦が進むにつれ、若手のアピールが寂しいものとなり、
丸佳浩や
大城卓三ら主力を脅かすまでには至らなかった。対照的に中堅、ベテランが意地を見せ、キャンプ終了後に一軍に合流した
立岡宗一郎や
小林誠司らがオープン戦で結果を残した。3月に来日した
グレゴリー・ポランコ、
アダム・ウォーカーの新助っ人コンビも加わり、若手の多くはファームでシーズンを迎えることになった。
レギュラー争いで最も目立ったのが、一塁の
中田翔だ。オープン戦は打率.325、3本塁打、8打点の活躍で一塁手の秋広ら若手に付け入る隙を与えなかった。左内腹斜筋筋損傷のため
坂本勇人が故障班に合流して開幕アウトとなったこともあり、主砲・
岡本和真の後ろに座る五番打者として、中田がチーム浮沈の行方を左右することになりそうだ。
原監督はオープン戦が終盤に差しかかっても、開幕オーダーや先発ローテに関する質問に「まだ決まっていない。いつも歯切れの悪い答えで悪いんだけど、そういうシーズンでいくと決めているから」と語った。常に起用法のベストを探りながら、少しずつ理想の形を築いていく。2年ぶりのリーグV奪回へ、今季も百戦錬磨の原監督の手腕がカギを握る。
写真=BBM