優勝候補の一角と思われていた阪神が、まさかのスタートダッシュ失敗。しかもセ・リーグワーストの開幕9連敗。厳しい船出となってしまった。 
開幕9連敗スタートとなった阪神。矢野監督もいろいろな策を講じるが勝利に導くことができない
1990年代の暗黒時代にもなかった屈辱。4月2日の
巨人戦(東京ドーム)で4対5の敗戦となり、セ・リーグ史上ワーストタイとなる開幕8戦8敗の不名誉な記録を作ってしまった。「勝たないとダメなんで」と
矢野燿大監督は前を向き、翌3日の同戦では必ずや今季初勝利をつかむはずだった。
しかし、初回に先発の
ガンケルが一死満塁のピンチを招き、
中田翔に満塁本塁打を浴び4点を失う。いきなりの劣勢からのスタート。打線も巨人のルーキーで先発の
赤星優志を打ちあぐね、5回まで無得点。6回に
糸井嘉男の2ランで反撃を開始するもリリーフの
アルカンタラが7回に4点を奪われて差を広げられ、終わってみれば5対9。セ・リーグワーストを更新する開幕9連敗を喫した。
この3日間の巨人戦では終盤に打線が奮起している。1日には9回に2点、2日には1点を奪い、3日は8回に1点、9回に2点。その点数が早いイニングで奪えていたら、先発陣もラクに投球できていた可能性もある。その意味では、悪循環が重なっているのも事実。
2日の9回には一死二、三塁、一打出れば同点、もしくは逆転の場面で四番・
佐藤輝明を迎える。三塁走者は足の速い
近本光司。だが勝ちが欲しい矢野監督は“ギャンブルスタート”を選択。その結果、佐藤輝はハーフライナーをショートに打ち、飛び出した近本は帰塁できずゲッツーとなり試合終了となった。まさにチーム全体が負のスパイラルに陥っていると言えよう。
「どこかで早くこの負の連鎖というか、それを払しょくしたいという気持ちでやってはいるんです」と
井上一樹ヘッドコーチはチームの内情を語っているが、一方で「選手たちがもがいているところも見ています。今は本当に選手を信じて、ひとつのボールに集中するということを言い続けてあげるだけ」と選手たちを信頼し続けるのみだ。
矢野監督の退任の意向も影響があるという声もあるが、プレーして評価を受けるのは選手たち。「勝ってなんぼ」の世界で監督の退任は関係ないはず。5日からはいよいよ甲子園での本拠地開幕。ここから猛虎の奮起&反撃を期待するのみだ。
写真=BBM