36回で60奪三振の佐々木朗

5試合の登板の時点では異常値となっている佐々木朗の奪三振率は、今後どう変動していくか
4月17日の
日本ハム戦(ZOZOマリン)で2試合連続の完全試合「未遂」となった時点で、
ロッテ・
佐々木朗希の今季の奪三振率が16.26というとんでもない数字になっていた。同月24日の
オリックス戦(京セラドーム)は5回4奪三振だったので奪三振率は15.00と減ったが、それでも高い数字だ。
奪三振率とは9イニングに換算した平均奪三振数なので、完全試合を達成した同月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)における日本タイ記録の19奪三振に平均でも迫る数字になっている。完投=9イニングを投げれば、常に奪三振数で日本記録に迫れるのが今季のここまでの佐々木朗希ということになる。
これまでのシーズン奪三振率の歴代1位は2019年に
ソフトバンク・
千賀滉大がマークした11.33。この年、千賀は180回1/3を投げて227個の三振を奪っている。さすがの佐々木朗も今後はさらに数字を落としていくはずだが(そんな安易な予測すら裏切るのが今の佐々木朗だが……)、シーズン奪三振率の歴代トップに躍り出るのは容易いことなのかもしれない。
一方、シーズン最多奪三振は1968年に
阪神・
江夏豊がマークした401奪三振。先発・リリーフでフル回転しており、投手の分業制が進んでいる現代においてはアンタッチャブルな記録と言えるだろう。ただし329回を投げており、奪三振率は10.97だ。
さて、ここで歴代通算の奪三振数と奪三振率のトップ10を見てみると、やはりランキングの顔ぶれが一変するのが分かる。奪三振数は昭和、奪三振率は平成以降という図式がここでも成り立っている。言わずと知れた
金田正一(
巨人ほか)の通算4490奪三振は江夏の401と同様に今後、2度と破られることはない記録だろう。だが、奪三振率のトップ10は
野茂英雄(近鉄)を筆頭に江夏を除いてすべて平成以降にデビューした投手たちだ。
現代の投手たちは先発ローテーションの確立から分業制の導入という流れの中でイニング数こそ減ったが、球速アップや変化球の進化などで奪三振能力は上がっていると言える。イニング数減で投手1人あたりの奪三振数は減っても、打者の打席数は変わりない。だから以前にお伝えしたように、打者の三振数は昭和の時代よりも増加しているのだ。
1000投球回以上での歴代奪三振率のトップは唯一の2ケタ以上となっている野茂の10.31。この数字を基準点に、今後の佐々木朗のピッチングを奪三振率の視点から追っていくのも面白いだろう。
写真=BBM