田中将大はヤンキースで2015、16、17、19年と4度、開幕投手を務めている。メジャーの日本人投手では最多。田中に次ぐのは3度で野茂英雄(2000年タイガース、03、04年ドジャース)とダルビッシュ有(17年レンジャーズ、21、22年パドレス)。ほかには08年に松坂大輔(レッドソックス)、09年に黒田博樹(ドジャース)、昨年は前田健太(ツインズ)、そして今季、大谷翔平(エンゼルス)が開幕戦の先発マウンドに立っている。開幕投手は日本同様、メジャーでも名誉なこと。田中が首脳陣から信頼を得ていたことが分かる。 勝利を挙げられたのは1回のみ

ヤンキース時代の田中
最初の開幕投手はヤンキース2年目。地元でのブルージェイズ戦だった。1、2回と無失点で無難に立ち上がった。ところが3回無死一、二塁からバントを処理して三塁手が一塁へ悪送球。失策で先取点を許すとラッセル・
マーティンの2点適時打と、エドウィン・エンカーナシオンの2点本塁打で5失点。1対6で敗れ、敗戦投手になった。
16年は地元でのアストロズ戦だった。2回に2点をもらい、3回まで無失点。だが4回に先頭ホセ・アルトゥーベの二塁打から内野ゴロの間に1点を失う。6回には二死からカルロス・コレアにソロを浴びて2対2の同点。続くコルビー・ラスマスに四球を与えたところで降板し、勝敗なしだった。ヤンキースは3対5で敗れた。
3年連続となった17年は敵地のレイズ戦。1回にエバン・ロンゴリアの犠飛とローガン・モリソンの2点適時打でいきなり3点を献上。3回途中に降板して8安打、7失点で黒星を喫した。
1年置いて19年は地元のオリオールズ戦。前年の開幕投手で19勝を挙げたルイス・セベリーノが開幕前に肩を痛めたために開幕戦で起用された。
1回にルーク・ボイトの本塁打で3点を先行してもらい、さらに3回にも1点追加。田中は4回に失策絡みで1点を失い、6回には二死二塁でトレイ・マンシーニに適時二塁打を喫し、6対2とリードして83球で降板。ヤンキースは7対2で勝ち、開幕戦4試合目にして初勝利を手にした。「ひとつ成長した姿を見せられたとは思います。これまで勝っていなかったですから」と、満足そうに話していたものだ。
日本人開幕投手の成績は野茂が2勝1敗、黒田が1勝0敗、田中が1勝2敗、ダルビッシュ、松坂、前田の3人が0勝0敗、大谷が0勝1敗となっている。
『週刊ベースボール』2022年5月16日号(5月2日発売)より
文=樋口浩一 写真=Getty Images