チームで最初に打席に入り、打線を勢いづける一番打者。勝利のために重要な役割になるが、果たして、今季の一番打者にはどのような選手が起用されているのか? セ・リーグ6球団の「一番打者事情」を見ていく。 ※記録は6月10日現在 読売ジャイアンツ
開幕から不動の一番は
吉川尚輝が務め、二番には
坂本勇人が入って攻撃の口火を切っていた。しかし、吉川と坂本が相次いでケガで離脱すると、一番に丸佳浩、二番にA.
ウォーカーを置く新たな形を構築。吉川復帰後も三番に据え、坂本が戦列に戻ってもまずは一、二番を変えずに五番に置いた。開幕前から「一番問題」はチームの懸案事項で、一番・丸もオープン戦から試してきた形のひとつ。今後は吉川&坂本のコンビに戻すことも含めてさらなる模索が続いていくはずだが、開幕前の「適任者がいない」という状態とは違い、選択肢が増えたことゆえの悩みとなっているのは間違いない。
東京ヤクルトスワローズ
好調ヤクルトのリードオフマンを務めるのはもちろん塩見泰隆だ。昨季途中からその座をつかみ、今季も60試合消化時点で45試合に一番・中堅として先発出場中。三振数57はリーグワースト3位で粗さは残るが、持ち味のパンチ力がさらにパワーアップ。ランニングホームランを含め、すでに9本塁打を放っている。また、塁に出れば積極的に仕掛けてリーグトップの15盗塁を記録。目標に掲げるトリプルスリーへ鼻息は荒い。一番打者では塩見のほかに、
太田賢吾が11試合、
山崎晃大朗が4試合に先発出場している。
広島東洋カープ
開幕直後は
佐々岡真司監督の「一番・
西川龍馬」の策がハマった。読みどおり「相手の投手には嫌がられる存在」として打線につながりを生み出すとともに、勝負強さも発揮。4割を超える得点圏打率で、開幕ダッシュを果たしたチームをけん引した。しかし、
小園海斗の不調などもあり、西川を三番に入れると、代役はなかなか見つからず。いろいろ試行錯誤を重ねる中で、遅れてきたヒーローとばかりに今、一番打者にハマるのが野間峻祥だ。開幕から調子が上がらず4月6日には出場選手登録を抹消された野手キャプテンだが、打撃フォームの修正に取り組んで二軍戦で結果を残すと、5月19日の一軍昇格後は別人にように打ちまくり。7試合連続安打も記録した。欲を言えば得点機での強さが欲しいところだが、交流戦でつまずいたチームを立て直すキーマンとなれるか。
中日ドラゴンズ
ここまでもっとも多く一番を務めているのは大島洋平の32試合。今季で37歳を迎えるベテランは開幕から好調を維持して安打を量産。4月下旬には首位打者を走っていたが、27日の
阪神戦(甲子園)で右ヒザに死球を受け、そのまま登録抹消となった。一番で打線をけん引していた大島の戦線離脱はチームにとっても非常に痛かった。5月20日の広島戦(マツダ広島)で約3週間ぶりの復帰。それでもなかなか調子が戻らなかったこともあり、ここ数試合は二番に下げ、一番には3年目の
岡林勇希が入っている。「大島-岡林」の一、二番が理想ではあるものの、
立浪和義監督は今後も2人の調子を見極めながら決めていくことになるだろう。
横浜DeNAベイスターズ
桑原将志の打撃不振により、当初の構想から外れた打順となっている。昨季、打率3割超えでリードオフマンに返り咲いた桑原が4月の月間打率.194と数字が伸びず、4月中旬からは新人・
梶原昂希、
関根大気、
楠本泰史らが日替わりで務めた。5月に桑原が一番を務めた時期もあったが、
三浦大輔監督は交流戦からはクリーンアップの
佐野恵太を一番に抜てき。その理由を「得点力を考えたときに、四番・牧(秀悟)の前にどれだけ走者を置けるか」と語り、牧と並びハイアベレージの佐野を置いた。とはいえ、6月に入って桑原が当たりを取り戻しており、今後は再び一番に座る可能性もある。
阪神タイガース
阪神の「一番打者=
近本光司」の印象は非常に強い。だが、最下位に低迷する要因となった打線のつながりを欠く今季の猛虎打線。そこで打率のいい近本を三番に据え、一番には島田海吏が入っている。6月1日の
西武戦(甲子園)から9試合連続で一番に座ると、同日から6連勝を飾った。近本や
中野拓夢にも引けを取らない走塁と盗塁技術に強肩の持ち主。課題は打撃だが、現在得点圏打率は5割と成長中。このチャンスをつかみ獲り、「一番打者=島田」という印象を植え付けたいところだ。
写真=BBM