ヤクルトの優勝で幕を閉じた交流戦。他リーグとの戦いで勢いがついたチーム、波に乗れなかったチームとそれぞれだが、6月17日からリスタートするペナントレースで上昇気流に乗るには誰がカギとなるのか。セ・リーグ6球団のペナント再開後の「キーマン」を探っていく。 ※記録は6月13日現在 読売ジャイアンツ
交流戦終盤になってついに復活を果たしたキャプテンがキーマンになる。坂本勇人が不在の間は20歳の
中山礼都が遊撃の代役を務めたが、守備では光るもの見せたものの打率.195と苦しみ、チームも14勝18敗と負け越していた。40日ぶりの復帰戦となった6月9日の
西武戦(ベルーナ)では先制打を含む3安打とさすがの存在感を発揮。「これだけ時間をもらったのだから、中途半端では戻らない」と口にしていただけに、守備も含めてコンディションは万全と見ていいだろう。DH制では五番に座ったものの、離脱前は強打の二番として打線の着火点となっていた。ペナント再開により打線の並びには手が加えられるかもしれないが、主将のバットがカギを握ることになるのは間違いない。
阪神タイガース
交流戦最終戦の
オリックス戦(京セラドーム)で豪快な一発を放ち、ペナント再開後に勢いをつけた形になった。交流戦でも四番を張り続けた佐藤輝明。しかし、全18試合に出場も3本塁打、14打点、打率.239と少し寂しい数字だった。五番の
大山悠輔が7本塁打、21打点と存在感を見せつけて「日本生命賞」も受賞しただけに、次は四番の番だ。チームも最下位から抜け出し、一気に4位に浮上した。ナインの士気も高く、セ・リーグとの戦いに戻って最初の試合(6月17日
DeNA戦=甲子園)で豪快な一発が出ると、チームがさらなる勢いに乗るはず。四番の活躍で勝利を呼び込み、上位を追走していきたい。
広島東洋カープ
3季連続の交流戦最下位。しかも、13敗は18試合制となった2015年以降の球団ワースト記録だった。交流戦までリーグトップの打率.261、202得点を誇っていた打線が一転、交流戦では12球団ワーストの.217、33得点。33得点は16年に阪神が記録した44得点を下回りワースト記録となった。首位・ヤクルトとの10.5ゲーム差を巻き返すためにも、やはり打線の奮起は最重要事項だ。とは言え、交流戦期間に
西川龍馬が左足首を負傷して離脱する苦しい状況は続く。現時点のチーム状況を考えると、代役は見当たらず、三番は今後も日替わりの可能性が高い。
そうなると、前後を打つ二番・
菊池涼介、四番・
マクブルーム、五番・坂倉将吾で得点機を演出し、チャンスをしっかりとものにしていくほかない。彼らも交流戦前までは、菊池が打率.278、得点圏打率.324、マクブルームが打率.289、得点圏打率.318、坂倉が打率.318、得点圏打率.429でありながら、交流戦では菊池が打率.209、得点圏打率.286、マクブルームが打率.206、得点圏打率.125、坂倉将吾が打率.213、得点圏打率.000。特に坂倉は13度あった得点圏の打席で、まさかの無安打1打点に終わっただけに、リーグ戦で再び勝負強さを取り戻してもらいたい。
中日ドラゴンズ
交流戦は7勝5敗と勝ち越していながら、最後の週、
ロッテと
日本ハムの敵地6連戦で6連敗。特に最後の日本ハム戦は3試合でわずか1得点。9回1失点の
大野雄大、8回2失点の
柳裕也、左右の両エースを打線が援護できなかった。とにかく好機に1本が出ない。得点力不足は深刻で、ついに阪神、DeNAに抜かれて最下位に転落。「それが今の実力というところ」と
立浪和義監督。現状を打開する打のキーマンは誰なのか。全員がそうだが、1人挙げるなら、やはり四番のダヤン・ビシエドになるだろう。6月に入って打率.351と絶不調時からは調子を上げてきている。7本塁打&26打点はまだ物足りないが、四番のバットでチームを勝利に導いていくしかない。ただ12日の試合で古傷の肩に痛みを訴えて途中交代しており、ビシエド不在となるとますます厳しい戦いが強いられる。
横浜DeNAベイスターズ
交流戦を9勝9敗の勝率5割で終えたDeNA。この期間、課題であったチーム防御率は2.60とまずまずの数字ではあったが、敗れた9試合で相手に先制を許したのが7試合。やはり、味方が得点する前に先発投手が失点すると勝利は遠のいてしまう。
今永昇太、
大貫晋一に続く、試合をつくれる先発投手が現われない限り、借金返済は難しい。それを踏まえて、キーマンに指名するのは東克樹だ。初の開幕投手に指名されながら、まさかの5連敗で登録抹消。トミー・ジョン手術の影響が残るのか、球威、制球力が本来の姿からは遠かった。しかし、ファームで再調整が進み、6月12日のイースタン・ロッテ戦(横須賀)では7回無失点と好投。一軍再合流が待たれる。
東京ヤクルトスワローズ
首位を快走する好調ヤクルトの先発ローテーション7人の中で唯一未勝利なのが新加入のアンドリュー・スアレスだ。ファームで実戦を積み、交流戦から先発ローテ入りを果たした左腕だが、登板3試合で防御率5.52と安定せず。課題は明確で、とにかく立ち上がりが悪い。全10失点のうち初回に6点を許しており、3試合すべてで初回に本塁打を浴びている。与四球率が1.84と制球力に優れ、大崩れしないタイプなだけに、なんとか序盤を抑えて試合を優位に進めていきたい。スロースターターを克服できれば、初対戦のセ・リーグ5球団にとって脅威になるに違いない。
写真=BBM