ペナントレースも折り返し地点をとうに過ぎ、各球団は80試合以上を消化している。果たしてここまで、先発がしっかりと役割を果たしたのはどこか? パ・リーグ6球団の先発陣を100点満点で採点した。 ※記録は7月18日現在 千葉ロッテマリーンズ
ロッテ 65点
開幕投手を務めた
石川歩が先発の陣として期待され、防御率1点台で5勝をマーク。ただ、腰痛で6月中旬から約1カ月間離脱したのは痛かった。4月10日の
オリックス戦(ZOZOマリン)で完全試合を成し遂げた“令和の怪物”こと佐々木朗希も、防御率1.48、リーグトップの124奪三振と圧倒的な投球を続けるも、7月1日にマメをつぶして登録抹消。先発ローテーションの軸がままならない中、昨季2ケタ勝利を挙げた
小島和哉、ベテラン右腕・
美馬学が勝負どころで失点を喫して勝ち切れず、チームも浮上し切れていない。打線の援護も無関係ではないが、勝ちを計算できる先発投手の数は、混戦模様のパ・リーグを制するカギとなりかねないだけに、先発陣の奮闘は不可欠だ。
オリックス・バファローズ
オリックス 90点
リーグトップの9勝を挙げるエース・山本由伸を筆頭に盤石の布陣だ。ノーヒットノーランを達成した山本は5敗を喫しているものの、安定感は健在で、投球回数もリーグトップの116回。救援陣の負担を減らしているのはさすがだ。さらに、
山岡泰輔も安定感が光り、防御率はリーグ1位の1.786を記録。左腕でも
田嶋大樹、
宮城大弥がともに6勝を挙げ、
山崎福也も先発ローテーションをしっかり守っている。疲労を考慮して登録を一度抹消するなど、長いシーズンを見据えたベンチワークも光り、先発ローテの谷間でドライチ・
椋木蓮が好投。シーズン序盤は得点力が上がらない中で、勝率5割付近に踏みとどまれているのは、先発投手陣の奮闘が大きい。
埼玉西武ライオンズ
西武 80点
4年連続チーム防御率がリーグ最下位だった投手陣が生まれ変わった。今季はここまで防御率2.37でリーグどころか12球団No.1で、首位に立つ要因となっている。先発陣の防御率は2.86でリーグ4位。
與座海人が7勝、高橋光成、
ディートリック・エンスが6勝、
松本航、
平井克典が5勝をマーク。防御率1.55の強力リリーフ陣にも助けられているとはいえ、及第点以上なのは間違いない。開幕先発ローテーションには
隅田知一郎、
佐藤隼輔の両新人左腕が入っていたが、リフレッシュのために6月中旬に登録抹消されたがレベルダウンを感じさせない。ケガのため先発ローテを外れていた
今井達也も7月7日のオリックス戦(京セラドーム)で一軍復帰し、続く14日のロッテ戦(ベルーナ)で今季初勝利。離脱中に5キロ増となった体から投げ込む直球の威力があり、今後のキーマンと言える。高橋は現在の9連戦中に中5日を解禁予定。エースは7敗を喫し、借金「1」となっているだけに、打線の援護がない中でも勝ち抜く投球が期待される。
東北楽天ゴールデンイーグルス
楽天 50点
絶好調だった序盤戦から一転して、先発陣には暗雲が漂っている。4連勝中と好調だった
涌井秀章は、5月18日のロッテ戦(ZOZOマリン)で打球が右手中指に直撃をして長期離脱を余儀なくされている。また、先発ローテーションの柱として期待された田中将大は、5月時点で昨季に並ぶ4勝をマークしたが、そこから悪夢の6連敗を喫し、再調整のために登録抹消に。7月16日のオリックス戦(楽天生命パーク)で一軍復帰登板を果たし、ようやく5勝目を挙げた。
岸孝之と
則本昂大がチームトップの6勝で並んでいるが、なかなかベストの布陣を組めていない。優勝争いに踏みとどまるための正念場を迎えている。
福岡ソフトバンクホークス
ソフトバンク 50点
開幕当初はエース・
千賀滉大、
石川柊太がチームを引っ張っていたが、気づけば先発陣の勝ち数27はリーグワーストに。千賀は2度の離脱に、石川は6試合勝ちに見放されるなど、苦しい時間も長かった。特にその間、代わりを務める若手が出てこなかったのも、チームとしては悩ましかった。ただ、悪いことばかりではない。今季は
東浜巨が5月11日の西武戦(PayPayドーム)でノーヒットノーランを達成するなど、久しぶりにしっかりと先発ローテーションを維持している。また、光明なのはプロ入り3年目左腕・大関友久の存在だ。開幕先発ローテをつかむと、一時中継ぎ配置転換を経験したことでパワーアップ。ここまでチーム2位の6勝を挙げているだけでなく、2完封はチーム唯一だ。よりよいパフォーマンスのために、常に進化し続けている左腕。後半戦も楽しみだ。
北海道日本ハムファイターズ
日本ハム 40点
開幕から低迷が続いていた投手陣だが、先発、リリーフとも安定してきた7月は7連勝を含む9勝5敗とチーム成績も上昇。上沢直之、
伊藤大海が2勝ずつを挙げ6勝と7勝。先発で唯一防御率1点台の
加藤貴之はギックリ腰から復帰後の7月14日、7回無失点の好投を見せた。
コディ・ポンセ、
池田隆英、
田中瑛斗と三本柱に続く先発も勝利を挙げ先発ローテーションも確立できそうな矢先、7月リーグトップの防御率1.27だった上沢が16日の西武戦(札幌ドーム)で右足に打球を受け右第3趾基節骨骨折。復帰まで8週間の診断でエースを欠いた戦いを強いられる。新型コロナ陽性判定の加藤も離脱し、先発ローテを組み替えざるを得ない状況だったが……。17日には
島崎毅投手コーチ、18日にはBIGBOSS、
武田勝投手コーチが新型コロナ陽性判定。一軍首脳陣もベンチから姿を消し、先発ローテ再編はうまく進むか。
写真=BBM