首位・
ソフトバンクから5位・
オリックスまで3.5ゲーム差にひしめく大混戦のパ・リーグ。
日本ハムはソフトバンクに12.5ゲーム差と離されているが、チームは着実に成長している。
柳田悠岐、
森友哉、
則本昂大……彼らは勝負の夏場で活躍してもらわなければ困るキーマンだ。
※成績は7月21日現在 Vへ不可欠な主将のバット

ソフトバンク・柳田悠岐
・柳田悠岐(ソフトバンク)
今季成績 67試合出場、打率.265、10本塁打、44打点、1盗塁
故障をのぞき、レギュラー定着した2013年以降で打撃不振でこれほど苦しんだシーズンはなかった。4月上旬に左肩腱板炎で戦列を離れ、3週間後に復帰して21試合連続安打をマークしたが、交流戦は18試合出場で打率.226、0本塁打、6打点と絶不調に。柳田は豪快なフルスイングが代名詞だが、首位打者を2度獲得するなどコンタクト能力も高い。しかし、今季はミスショットしたような打球が目立ち本塁打も増えない。7月に入っても安打は出るが、固め打ちがなく爆発力に欠ける。18日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)は左ヒザ痛で欠場。コンディションは万全でないかもしれないが、柳田が打たなければ得点力が上がらない。2年ぶりのV奪回に向け、主将のバットにかかる期待は大きい。
攻守でチームの中心に
・森友哉(西武)
今季成績 49試合出場、打率.238、2本塁打、16打点、0盗塁
攻守の要としてチームを引っ張っていかなければいけない選手だ。4月2日のロッテ戦(ZOZOマリン)で8回の守備から途中交代し、ロッカーでマスクを投げつけて右手人さし指を骨折。想定外の事態で戦線離脱はチームにとって大きな痛手だった。正捕手が1カ月半以上不在の中で
柘植世那、
牧野翔矢、
古賀悠斗らが奮闘する姿に、森も期する思いがあっただろう。5月下旬に復帰以降は打撃の状態が上がってこなかったが、7月に入ると広角に力強い打球を飛ばす本来の姿を取り戻しつつある。19年に打率.329でパ・リーグの捕手では1965年の
野村克也以来54年ぶり2人目の首位打者を獲得するなど、天才的な打撃センスを誇る。捕手としても強力投手陣を引っ張る。
エース復権でチームを牽引
・則本昂大(楽天)
今季成績 12試合登板、6勝4敗、防御率3.08
田中将大、
岸孝之と実績ある投手たちがいるが、則本が「エース復権」を果たさなければ、2013年以来9年ぶりのリーグ優勝は見えてこないだろう。新人の13年に15勝8敗で新人王を獲得するなど同年から6年連続2ケタ勝利をマークし、最多奪三振のタイトルを5度獲得。19、20年は投球フォームを崩して2年連続5勝止まりと苦しんだが、昨季は11勝を挙げて復活の兆しを見せた。今季は開幕して間もなく新型コロナウイルスに感染して1カ月離脱したが、5月に復帰以降は先発ローテーションで白星を積み上げている。6月12日の
巨人戦(楽天生命パーク)で7回2失点の快投でプロ通算100勝をマーク。節目の白星を通過点に、勝負の夏場も先発の中心として躍動する。
高いQS率を誇るサウスポー
・小島和哉(ロッテ)
今季成績 14試合登板、1勝7敗、防御率2.47
昨年は自身初の2ケタ勝利となる10勝をマーク。チームが優勝争いを繰り広げた終盤に9月19日の日本ハム戦(札幌ドーム)でプロ初完封勝利、10月3日の楽天戦(楽天生命パーク)でも3安打完封勝利と抜群の安定感で投手陣を引っ張った。背番号が「14」に変わり左腕エースとして期待された今季は大きく負け越しているが、投球内容は決して悪くない。14試合登板でクォリティースタート(QS、先発投手が6イニング以上を投げ、自責点3以内)は10試合でQS率が71.4パーセント。打線の援護に恵まれず白星は6月10日の
DeNA戦(ZOZOマリン)で挙げた1勝のみだが、後半戦もこの投球を続ければ白星は必ずついてくるだろう。
「ラオウ」の打棒爆発は必須
・杉本裕太郎(オリックス)
今季成績 78試合出場、打率.243、11本塁打、37打点、3盗塁
昨季は打率.301、32本塁打、83打点とプロ6年目で大ブレーク。本塁打王を獲得し、25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献したが、相手のマークが厳しくなった今季は試練を味わった。3、4月は月間打率.133、1本塁打、6打点と絶不調で四番から外され、スタメン落ちも味わった。交流戦で打率.391と首位打者を獲得し、6月は打率.282、5本塁打、15打点で月間MVPを獲得。7月に入って打棒爆発までは至ってないが、ボール球をきっちり見極めて四球での出塁が増えている。逆転優勝でリーグ連覇に向け、「ラオウ」の大活躍が不可欠だ。
最多勝を狙う2年目右腕
・伊藤大海(日本ハム)
今季成績 16試合登板、7勝7敗1ホールド、防御率2.96
優勝の可能性は低いが、後半戦に向けて日本ハム躍進のカギを握るのが伊藤大海だ。1年目の昨季は10勝をマークし、侍ジャパンでもセットアッパーとして東京五輪の金メダルに大きく貢献。今季も「2年目のジンクス」はどこ吹く風だ。7月2日のオリックス戦(札幌ドーム)ではオリックス
山本由伸と今季2度目の投げ合いを初めて制し、完封勝利をマーク。
上沢直之が今月16日の西武戦(札幌ドーム)で打球が直撃し、右足中指骨折で長期離脱する事態となり、伊藤にかかる負担は大きくなるがエースとしての働きが求められる。今季は被打率で右打者が.192に対し、左打者が.271と高いことから修正して白星を積み上げたい。後半戦の投球次第では最多勝のタイトルも十分に狙える。
写真=BBM