自分のタイミングで始動

7月21日の西武戦でサヨナラ打を放った高部
劇的な勝利にZOZOマリンが沸いた。7月21日、
ロッテ対西武。2点差で迎えた9回裏、ロッテ打線は西武クローザーの
平良海馬を攻め立て同点に追いつく。さらに一死満塁とチャンスが続いた。打席には
高部瑛斗。初球、真ん中高めに浮いたカットボールをとらえた当たりは一、二塁間を抜けるサヨナラ安打となった。5対4の勝利。4試合連続の逆転勝ちで、
井口資仁監督は監督通算300勝を達成した。
「待っていても打てないと思った」と積極打法でヒーローとなった高部。昨季までファームでは安打と盗塁を量産してポテンシャルの高さを見せていたが、一軍では結果を残せなかった。だが、今春のオープン戦で12球団トップの打率を残してアピールに成功。開幕で一番スタメンを手にして、ここまで全試合出場。リーグ2位の93安打に加え、リーグトップを快走する28盗塁と、攻撃に欠かせぬ存在になっている。奏功したのは、昨秋の練習からタイミングの取り方を見直し、打撃フォームを改良したことだ。
「今までは相手ピッチャーに合わせてタイミングを取っている感じだったんです。でも、そうではなくて、自分始動でタイミングを取ろう、と。自分の動きを自分のタイミングで始動することで、まずは有利になるなと思ったんです」
さらに、打つポイントを意識的に近くしたことも大きかった。
「でも、“引き付ける”というイメージではないんです。僕の中では“持ってくる”なんですよね。“引き付ける”はボールを呼び込んでバットを出す感じなので、“引き付ける”だと、ボールを見過ぎて体の反応が遅れたり、反応できなかったりするんです。それに対して“持ってくる”はボールをとらえ続けている感じで。ポイントが前でも後ろでも、どこでもボールをとらえられるイメージを持ち続けて、バットを出す。そういう感覚の違いなんです」
4位ながら4連勝で首位・
ソフトバンクに2.5ゲーム差に迫ったロッテ。混戦パ・リーグを勝ち抜くために高部のバットは欠かせない。
写真=BBM