甲子園のエース≒プロの県勢エース

倉敷商高出身の星野
プロ野球が国民的スポーツとしての地位を確立した時代、その中心にあった
巨人に真っ向から立ち向かっていったセ・リーグのエースたちがいるのが岡山県。ドラフトの因縁もあって、
中日で巨人に牙をむいたのが倉敷商高の
星野仙一だ。巨人と目立ったエピソードはないが、星野の1学年下には
ヤクルトのエースとして初のリーグ優勝、日本一に貢献した
松岡弘がいた。松岡の同学年で、大洋(現在の
DeNA)で巨人キラーと呼ばれたのが岡山東商高の
平松政次。平松はセンバツ優勝投手でもある。当時は岡山東高だったが、大洋でも平松の先輩となるのが初のリーグ優勝、日本一で立役者となった
秋山登。やや後の時期になるが、
広島の
山根和夫は勝山高の出身。
逆に岡山の出身ながら広島県の広陵高を出たのが現役の
野村祐輔で、岡山理大付高を出ている
九里亜蓮は鳥取県、
薮田和樹は広島県の出身だ。似たケースでは、
オリックスの現役エースでもある
山本由伸は岡山県の出身ながら宮崎の都城高を出ている。
同じく現役で2013年の24連勝でプロ野球の頂点に立つ
楽天の
田中将大は北海道の駒大苫小牧高でエースとして甲子園の決勝での力投でも印象を残すが、兵庫県の出身。兵庫は47都道府県でも最強クラスといえる好投手の宝庫だ。滝川高では「泣くな別所、センバツの花」とうたわれた
別所昭(毅彦。巨人ほか)を皮切りに、高砂高から“精密機械”といわれた制球力を誇る
小山正明(
阪神ほか)、育英高からは“草魂”の
鈴木啓示(近鉄)と、3人が300勝を超えている。
小山と阪神でWエースとなった
村山実は住友工高(尼崎産高)の出身で、大阪学院高の卒業ではあるが、村山と阪神で左右両輪を形成、のちにリリーバーのパイオニアとしても一時代を築いた
江夏豊も兵庫の出身だ。村山も江夏も通算200勝をクリアしている。キャリアは短かったが剛速球で沸かせた阪急(現在のオリックス)の
山口高志は市神港高の出身だ。甲子園とプロ、ともに県勢エースといえるのは別所だろうか。とはいえ、甲子園球場も兵庫県。ファンそれぞれの思いも他の都道府県とは別格、最強クラスなのかもしれない。
文=犬企画マンホール 写真=BBM