甲子園のエース≒プロの県勢エース

成城工高時代の野茂
大正の終わりから昭和の初めにかけて「和歌山を制する者は全国を制す」と言われたほど、甲子園の古豪といえるのが和歌山県。海草中(現在の向陽高)の嶋清一は伝説のエースだが、プロへは進まず戦没、その海草中からは
真田重蔵(重男)が松竹でシーズン40勝でセ・リーグ初の王者にチームを導いている。
一方、時は流れ、一時代を築いた
西武のエースが和歌山の出身だ。まずは西鉄から西武にかけて活躍した箕島高の
東尾修。その東尾が監督となった時代にエースの座に就いた県和歌山商高の
西口文也が続く。両雄は西武の黄金時代、その最初と最後を彩ったエースといえるかもしれない。対照的に、低迷期の
ヤクルトを支え続けたエースが
尾花高夫だが、大阪のPL学園高へ進んだ。リリーバーでは箕島高では東尾の後輩で東尾にあこがれ、ヤクルトで尾花の後輩となった
吉井理人や、現役で市和歌山商高の
益田直也(
ロッテ)に智弁和歌山高の
岡田俊哉(
中日)。やはりヤクルトで尾花の遠い後輩となる南部高の
山本哲哉もいたが、山本の南部高には
阪神でV9
巨人に立ち向かったアンダーハンドの
上田二朗(次郎、次朗)もいた。
一転、隣の大阪府は関西の中心的な存在だけあって投打ともに圧巻だ。甲子園を沸かせてプロでも活躍した投手には、浪商高(大体大浪商高)の
尾崎行雄(東映。現在の
日本ハム)や
牛島和彦(中日ほか)、PL学園高の
桑田真澄(巨人)に、大阪桐蔭高の
今中慎二(中日)や現役の
藤浪晋太郎(阪神)など歴史があるが、それ以上に特徴的なのはメジャーのマウンドを踏んだ投手が多いこと。パイオニアで成城工高の
野茂英雄(近鉄)に桑田、巨人で桑田の後輩となる東海大仰星高の
上原浩治に加え、上宮高の
黒田博樹(
広島)、PL学園高で桑田の後輩となったのを皮切りに黒田、野茂ともプロで後輩となるツインズで現役の
前田健太ら本格派が並んでいる。
甲子園は宮城の東北高からの出場だったが、パドレスで現役の
ダルビッシュ有(日本ハム)も大阪の出身だ。変則派では、アンダーハンドで阪急(現在の
オリックス)の黄金時代を支えた大阪西高の
足立光宏もいた。
文=犬企画マンホール 写真=BBM